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金融機関横断で、投融資先が抱える環境・社会のインパクトを、投融資に際して測定・評価してファイナンスする「インパクト志向金融宣言」(RIEF)

2021-11-29 17:19:53

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 銀行、生保から信金・信組、資産運用機関等、多様な業態の21金融機関が29日、投融資先の環境・社会的変化(インパクト)の測定・マネジメントを踏まえた金融行動をとることを目指す「インパクト志向金融宣言」を立ち上げた。今後、投融資が相手先に及ぼすインパクトを測定・マネジメント(IMM)することを推進するため、署名機関が連携していくとしている。

 宣言では、「地球温暖化問題や持続可能な開発目標(SDGs)、新型コロナ感染拡大等により、内外の環境・社会課題は山積している。こうした課題解決には政府等の公的資金に依存した対応は限界があり、民間の投融資が不可欠」と問題意識を表明している。
 そのうえで、「そのためには金融機関が企業活動のもたらす環境・社会への変化(インパクト)に着目し、投融資先の企業のネガティブインパクトを削減し、ポジティブインパクトを創出する双方の活動が求められる」として、投融資先のインパクトを見極めた金融活動を展開する必要性を強調している。
 インパクト金融の軸になるIMMの手法については、①インパクト志向の投融資は既に海外市場でより高い水準で実践されている②日本は、海外から既に多額の資金を取り入れており、国際的に開発された原則・基準を準拠・参照していく――として、海外のIMM手法を活用する考えを示している。
 ただ、どのようなIMMを活用するのかについては、具体的な紹介はない。環境・社会分野へのインパクトは投融資先の企業や事業によって異なるほか、金融機関の業態によっても、そうしたインパクトへの対応力や手法は異なると思われる。たとえば、銀行の対応と、信組、ファンド等の対応の違いだ。
 金融機関が規模の大小や業態の違いを乗り越えて、自主的な「インパクト志向金融宣言」で足並みをそろえたことは評価すべきだろう。だが、問題は実際にインパクト金融の成果をあげ、環境・社会の改善に資することができるかだ。
 環境・社会的インパクトの高い投融資先の活動についても、事業リスクは伴う。リスクを軽減し、ポジティブなインパクトを支援するためには、宣言を踏まえた金融機関自体のインパクト評価力、リスク軽減力の強化が不可欠と思われる。
 単に海外の手法をコピーする方法ではなく、今後、わが国金融市場が抱える投融資先の多様で特異なインパクトを、効率的に捉える手法の開発に力を入れるほか、それらに対する業態ごとの対応と連携の仕方等を、開発・整理していく必要があるだろう。「宣言」の次の「実践」に期待したい。
 <署名金融機関:2021年11月29日時点>
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