内外の環境NGO。COP28後に日本で開く「アジア・ゼロエミッション共同体サミット」で、「誤った日本の気候対策」にアジアが巻き込まれないよう「アジア同時市民アクション」展開(RIEF)
2023-12-08 10:52:42
ドバイで開いている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は今月12日までの予定。COP終了直後に日本では日本ASEAN特別首脳会議(日・ASEANサミット)が予定されている。同サミットに合わせて、日本が主導する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会議」も開かれる。AZECは日本政府がグリーン・トランスフォーメーション(GX)政策として展開を目指す石炭火力発電の温存策等を、アジア全域に拡大するものだとして、内外の環境NGOが「誤った日本の気候変動対策」にアジア諸国が巻き込まれないよう求める「アジア同時市民アクション」を展開する。
日本ASEANサミットに合わせて開かれる「AZECサミット」は、12月16〜18日の日程で東京で開催される予定。同会議では、日本政府が推進するGX政策に合わせ、化石燃料ガスの使用継続や、既存の石炭火力発電所を延命させるための水素・アンモニア混焼、CCS等のネットワークをアジア各国に広げ、それぞれの国での化石燃料からの脱却も遅らせることを目指す、とみられている。
環境NGOのFoEJapanや350Japan等で構成する「Fossile Free Japan」によると、日本は2020~22年にかけ、海外での石油・ガス・石炭の開発事業に、毎年平均で少なくとも69億㌦の公的資金を投じており、世界第二位の化石燃料支援国だ。再エネ等のクリーンエネ支援の約3倍の資金を投じている。第一位のカナダは、22年に国外の公的支援を打ち切る政策指針を打ち出しており、今後、このままの政策が続けば、日本が世界最大の「対外化石燃料支援国」の座に就任することになる。
海外のガス事業に絞っても毎年平均43億㌦を投じている。LNG輸出インフラ事業に対しても世界最大の公的支援国で、2012年から22年にかけて建設完了あるいは建設中の海外のLNG輸出インフラ事業への各国の公的支援総額(397億㌦)のほぼ半分は日本政府が提供している。日本政府の公的金融機関とメガバンク、ゼネコンの3者の連合体が、アジアを中心とした化石燃料依存のインフラ建設を推進してきたといえる。
NGOらは、GX政策をアジアに広げる日本政府主導のAZEC構想には、そうした日本主導の利権構造と、アジア諸国の化石燃料依存構造を固定化させる狙いがあると懸念している。こうした日本政府の「誤った気候変動対策」をアジアに広めることを防ぐため、日ASEANサミット開催直前の12月15日に、東京で内外の環境NGO、市民団体等などが東京に集結して抗議行動(アクション)を展開する予定だ。
同アクションには、インドネシアとフィリピンからも市民団体の代表等が参加する。また当日は、ASEANを中心にアジア諸国(フィリピン、ベトナム、インドネシア、バングラデッシュ、インド、パキスタン)のほか、これらの国々に天然ガス等を輸出しているカナダ、アメリカ、オーストラリアの国々でも、東京での抗議行動に合わせて同時アクション等を展開する。各国の抗議行動をつなぐ「#SayonaraFossilFuels」の共通のハッシュタグも設定した。
東京で予定するアクションでは、5月のG7広島サミット時に登場した、岸田首相に扮したマスコットも再登場するという。さらに約40人の参加者が光るブレ スレットを一斉に動かすことで、日本がASEAN諸国を化石燃料に縛り付けていることや、太陽光や風力などの再生可能エネルギーへの希望を表現する演出も予定している。
https://fossilfreejapan.org/wp-content/uploads/2023/11/Japan-fossil-finance-backgrounder-JP.pdf