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G20諸国と世銀等の国際公的金融機関の「パブリックマネー(公的資金)」による化石燃料事業支援は、再エネ事業向けの1.4倍。日本は特に3倍と化石燃料偏重。国際NGO報告書で判明(RIEF)

2024-04-10 17:30:12

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 G20諸国と国際開発金融機関(MDB)による「パブリックマネー(公的資金)」が、2020~2022年間で再エネ事業等のクリーンエネルギー向けに過去最大の増加を見せて1040億㌦となった。しかし、化石燃料事業への公的資金の流れは、同期間に、その1.4倍の1420億㌦に達した。先進国を中心とした公的資金の流れは依然、化石燃料シフトの基調に変わりがないことがわかる。このうち、日本は世界第三位の化石燃料支援国で、クリーンエネ支援額の3倍の化石燃料支援をしている。日本政府が掲げるGX(グリーン・トランスフォーメーション)政策はこうした化石燃料依存体制を「グリーン転換」するためでなく、化石燃料事業を「公的資金」を使って「延命」させようとしている懸念が高まる。

 

 国際的環境NGOのオイル・チェンジ・インターナショナル(Oil Change International)と地球の友(FoE)米国が、共同で公表した「Public Enemies: Assessing MDB and G20 international finance institutions’ energy finance」と題する報告書で指摘した。報告書は「最も裕福な国々が、化石燃料への巨額の資金支援を続け、再エネへの公正な移行を妨害していることが明らかになった」と指摘している。「公的資金」を、汚れたエネルギーの延命に活用する各国当局の姿勢を「公共の敵」と呼んでいる。

 


 報告書によると、2020年から2022年までの間、G20と世界銀行等の国際開発金融機関による化石燃料事業向けの支援は1420億㌦で、クリーンエネルギー関連事業への支援額(1040億㌦)の約4割増だった。化石燃料事業のうち470億㌦は石油・ガス事業へのファイナンスで、報告書は「日本を含む一握りの国々が、石炭だけでなく石油やガスへの融資も廃止するという既存の約束を守れば、2024年末までに年間260億㌦を化石燃料から切り離すことができる」としている。

 

エネルギー分野への公的ファイナンス額は経年的に減少していたが、2021年から増加し、特に化石燃料向けが増えている(報告書から)
エネルギー分野への公的ファイナンス額は経年的に減少していたが、2022年には増加に転じ、特に化石燃料向けが増えている(報告書から)

 

 化石燃料への公的ファイナンスが最も多い国は、カナダ(年109億㌦)、次いで韓国(年100億㌦)、3位は日本(年69億㌦)の順。日本は再エネ等のクリーンエネルギー事業には化石燃料支援額の3分の1の年平均23億㌦しか供給していない。GX政策の実態はこうした「化石燃料事業温存構造」の維持にある疑念が濃厚になったともいえる。カナダ、韓国、日本の「ワースト3カ国」による3年間の支援額は、G20諸国の化石燃料投融資全体の64%を占めている。

 

 
 報告書では、各国政府がクリーンエネルギー移行パートナーシップ(CETP)や、主要7か国会議(G7)等で表明してきた政府公約を完全に守れば、1420億㌦の化石燃料支出のうち71%(1010億㌦)は今後数年で終了する、と指摘。CETP等へのほとんどの署名国は、すでに自らの誓約に基づく取り組みを実行しているが、米国と日本の取り組みは、特に後退している、と指摘している。

 

 化石燃料向け公的ファイナンスがトップのカナダは、22年末にCETPへの署名に伴う対応を満たし、化石燃料関連の国際ファイナンスの停止を打ち出したが、国内でのタールサンド事業等への連邦、州当局による公的資金の提供は、もっと多額に上ることから、地域住民やNGO等から批判を受けている。

 

化石燃料事業へのファイナンス額が多い国のランキング(報告書から)
化石燃料事業へのファイナンス額が多い国のランキング(報告書から)

 

 「ワースト3」の日本は、G7首脳会議で、化石燃料への国際公的支援を廃止すると公約した。だが、報告書は「日本の現在の政策は化石燃料プロジェクトへの融資を継続するための『抜け穴』を残している」と指摘している。さらに、日本がGX政策で、石炭火力発電所への炭素回収貯留(CCS)等を導入することを、「化石燃料支援」と懸念を示している。

 

 G20およびMDBによるエネルギー関連の国際融資は先進国や新興国向けの事業が中心で、低所得国向けは8%に過ぎない。しかも、それらのほぼ4分の3は途上国に化石燃料事業を持ち込むものだった。このような資金は、エネルギーへのアクセスを必要としている地域社会には事実上全く届いておらず、化石燃料への資金提供の継続を正当化するためだけのものと指摘している。

 

  日本は、2020年から2022年の間、石油・ガス等の化石燃料の上流事業(採掘・開発事業)に対して年間平均25億㌦の支援を行った。これは上流プロジェクトに対する国際的な公的支援額全体の半分近く(49%)に相当する。報告書は「日本は上流プロジェクトに対する世界最大の支援国」と評価している。日本は石炭事業にも、まだ年間平均6億6500万㌦の公的資金を注ぎ込んでいる。

 

 調査では、G20の最も裕福な国々が化石燃料への継続的な投融資に対し主要な責任を負っており、日本は「最も責任重い国の1つ」に位置づけられる。日本の化石燃料への公的支援は、2017年から2019年の680億㌦から2020年から2022年の470億㌦へと減少してはいる。しかし、仮に日本が化石燃料への国際支援を行わないというG7の公約を守らないという現状の対応が続けば、この「減少傾向」は続かない可能性があると指摘している。

 

 報告書は、日本政府が『抜け穴』を利用し、化石燃料への融資を継続している事例として、3月に、オーストラリアのガス田とメキシコのサン・ルイス・ポトシとサラマンカのガス火力発電事業への約10億㌦の融資を承認したことをあげている。

 


 報告書について、FoEJapanの「気候変動とエネルギー担当」で事務局次長の深草亜悠美氏は「化石燃料プロジェクトへの国際公的融資をやめるというG7の公約にも関わらず、日本は新たな化石インフラへの融資を続けている。例えば日本貿易保険(NEXI)は現在、米国で地元の漁業者がLNG開発の影響を受け、気候変動で激化したハリケーンの被害も受けている地域で、LNGターミナル拡張事業への支援を検討している。同プロジェクトは地元の住民にさらなる負担をもたらし、気候危機を悪化させる」としている。

 

 オイル・チェンジ・インターナショナル、シニア・ファイナンス・キャンペーナーの有馬牧子氏は「日本はアジア全域、そして世界中で再エネへの移行を遅れさせている。化石燃料融資をやめるというG7の公約にも関わらず、国際協力銀行(JBIC)などは、オーストラリアやメキシコ等で新たな化石燃料プロジェクトを支援し続けている。日本は金銭的な利益よりも、人々や地球環境を優先し、さらに財政支援を化石燃料から再エネに転換していく必要がある」と述べている。

 

https://priceofoil.org/2024/04/09/public-enemies-assessing-mdb-and-g20-international-finance-institutions-energy-finance/

https://priceofoil.org/content/uploads/2024/04/G20-Public-Enemies-April-2024.pdf