HOME11.CSR |インドネシアで1000人強の死者を出した先月の洪水被害の主因の一つされる大規模森林皆伐の実施企業を、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が資金面で支援。NGOが調査(RIEF) |

インドネシアで1000人強の死者を出した先月の洪水被害の主因の一つされる大規模森林皆伐の実施企業を、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が資金面で支援。NGOが調査(RIEF)

2025-12-25 18:03:01

RANGREキャプチャ

写真は、鬱蒼とした熱帯雨林地帯を一気に皆伐した現地の模様=RANのサイトから引用)

 

 米環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、11月にインドネシアで1000人以上の死者を出した豪雨・洪水被害拡大の原因とみられる熱帯雨林の大規模伐採を展開してきた事業者グループを、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が資金面で支えてきたと指摘する調査結果を発表した。それによると、同国の大手紙パルプ複合企業のロイヤル・ゴールデン・イーグル社(RGE)のパルプ工場に木材チップを供給してきた企業は、ボルネオ島で天然林の大規模皆伐を実施し、植林地に切り替えて木材資源を調達していたという。このため、当該地域の森林の保水力が急速に低下していたことが大災害の主要な要因になったとみられている。

 

 RANの調査は、衛星画像分析やインドネシア政府のデータ、サプライチェーン記録により、RGEグループが中国に設けている最大のパルプ工場に供給する木材チップ企業(PT. バリクパパン・チップ・レスタ  :  PT. BCL)が、2020年から2024年にかけて、ボルネオ島の東カリマンタン州で5,500ha以上の天然林を皆伐した植林地から木材を調達していたと指摘している。同調査は、インドネシアのパルプ材セクターに関するサプライチェーン透明性プラットフォーム[Trase」の最新データを利用した。

 

  PT. BCLはRGEの事実上のグループ会社だとRANは指摘する。RANの指摘を受けたRGE自体も同社の予備分析の結果、PT. BCLの事業許可地で「土地被覆の変化」が発生し、これは同社の方針に違反している可能性が高いとの結論を示すなど、RANの指摘を認める回答をしたとしている。

 

 RANは、こうした調査結果は、RGEが2016年に大々的に発表した「サプライチェーンからの森林破壊停止」の誓約と矛盾するほか、MUFGについても「森林破壊をなくす」という、同社の約束の信頼性について、深刻な懸念を提起している、と指摘している。

 

 MUFGは、同社の環境方針で「グループ各社の業務および顧客への商品・サービスの提供を通じ、自然資本・生物多様性を保全する事業を支援するとともに、リスクの把握に努め、自然資本・生物多様性へ負の影響を及ぼすことが無いように適切に対応する」と明記している。

 

 しかしMUFGは2020年から2025年7月までに、RGEのパルプ部門であるエイプリル社(APRIL)に少なくとも2億2200万㌦(約350億円)を融資してきたという。これには2024年のシンジケートローンへの9500万㌦の出資も含まれる。MUFGはこうした巨額の融資を森林伐採事業に提供し、「持続可能なファイナンスを牽引する」としているが、RANはMUFGが「森林破壊禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)」方針の包括的な適用方法や、不透明な企業構造やシャドーカンパニーを持つ顧客へのデューデリジェンスの実施方法を示していない点を批判している。

 

ボルネオの熱帯雨林を伐採して積み出す港湾施設(=RANのサイトから)
ボルネオの熱帯雨林を伐採して積み出す港湾施設(=RANのサイトから)

 

 RANは調査結果の公表の前に、今回の調査結果から得られた新たな証拠をMUFGに提示したとする。しかしMUFGは顧客の守秘義務を理由に、調査結果についてのコメントを控えたと明かしている。RANは、MUFGが資金供給を続けてきたPT. BCLが、RGEとつながりがあり、インドネシアでの大規模熱帯林破壊の明白かつ継続した証拠があるにもかかわらず、MUFGが同グループへの資金提供を続けてきた点を批判している。

   
   RAN森林プログラムディレクターのロビン・アバベック(Robin Averbeck)氏は「記録された森林皆伐は些細なものではなく、RGEグループのグローバルな木材原料供給量のかなりの部分を占める。この様な事例が発覚したのは今回だけではない。これらの企業は、数年前の森林皆伐の後、監視下に置かれるはずだった。今回の事態は、RGEが掲げる『森林破壊へのゼロ・トレランス(不容認)』が偽りであることを明らかにした」と指摘している。


 またRANは、今回の調査により、PT. BCLが、RGEの保有する中国の巨大パルプ工場「アジア・シンボル」に木材チップを独占供給していることが判明した、としている。 森林管理協議会(FSC)の改訂ガイドラインでは、PT. BCLはRGEの財務的支配下にあるとみなされる関係にある。これはPT. BCLによる森林破壊の継続が、FSC方針およびRGE自身の「森林破壊ゼロ」誓約に直接違反していることを意味することになるとしている。



 RANの責任ある金融キャンペーナー(日本担当)の麻生里衣氏は「MUFGは、サステナビリティへの誓いを行動に移すべきだ。MUFGは、自然資本と生物多様性を優先課題と認識しているとしながらも、RGEグループなどの企業に資金を提供するのは全く逆の傾向を示すことになる。『責任ある金融機関』を目指すのであれば、MUFGは影に隠れて熱帯林を破壊する企業にではなく、最前線のコミュニティの声に耳を傾けるべきだ」と述べている。

https://japan.ran.org/?p=2605

https://www.ran.org/press-releases/new-investigation-exposes-mufgs-financing-of-royal-golden-eagles-deforestation-as-indonesia-reels-from-deadly-floods/

https://www.thejakartapost.com/business/2025/12/18/idx-halts-toba-pulp-lestari-trading-after-permit-suspension.html.