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宮城県加美町の住民参加型「太陽光発電」計画 薄雲漂う 地元住民からの応募ゼロ(河北新報)

2013-06-24 14:29:11

太陽光発電所の建設予定地
 

太陽光発電所の建設予定地
太陽光発電所の建設予定地

宮城県加美町による住民参加型の小規模太陽光発電所の計画が、第一歩を踏み出せるかどうか微妙な状況になっている。設置と運営を担う事業者の応募が、25日の締め切りを目前にしても全くない。


町民から出資を募り売電収入を還元する仕組みで、県内では珍しい。企業だけが収入を得るケースが多い現在の太陽光発電ブームに一石を投じられるかどうか。実現への道のりは平たんではない。(加美支局・関俊哉)

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 計画では、近くに移転した上多田川小跡の町有地約1万2000平方メートルを、町が事業者に有償で貸与。出力250~400キロワット程度の発電所を建設してもらう。総事業費約1億円で、7月に事業者を決め、来年4月の発電開始を目指す。

 
 事業者が出資を募り、建設費に充てるのが最大の特徴だ。事業者は電力を東北電力に売り、収益を出資者に還元する。地元の恩恵が土地代程度にとどまる従来の民間太陽光とは大きく異なる。

 
 プロポーザル方式の企画提案は今月4日に募集を始めた。町は「実績を残せばイメージアップにつながるはず」と企業側の動きに期待していた。

 
 応募ゼロの理由の一つとして挙がるのは事業者の資格要件。出資金を募るのに欠かせない「第2種金融商品取引業」の登録を盛り込んだ点だ。

 
 登録は低いハードルではない。酒田市で太陽光発電所を7月稼働させる予定のグリーンシステム(同市)の小野寺良信会長は「時間もコストもかかる」と指摘する。

 
 同社も市民出資型を計画しながら登録まで約半年を要することや、毎年の事業報告書提出に関する経費などを理由に断念。太陽光パネル1枚ごとの所有権を市民らに販売する方式に変更した。

 
 出資金集めも課題となる。総事業費約1億円を賄うには、一口10万円としても1000口必要になるが、町は「方法は事業者の提案に任せる」と言うにとどまる。

 
 ただ国内では成功例もある。長野県飯田市の「おひさま進歩エネルギー」は2004年に始めた太陽光発電事業で、市民や地元法人などから出資金約2億円を集めた。飯田市が協働パートナーとなり、公共施設の屋根を発電場所として無償提供するなどしたことが大きいとされる。

 
 同社の原亮弘社長は「行政が協力している姿を見えるようにすることで、住民が安心して出資しやすくなる」と話す。

 
 加美町は見通しが甘いまま、手探りで事業を進めている印象も否めない。それでも事業の意義は間違いなくある。仮に今回は応募がなくとも諦めず、課題を整理し直して再公募するなど、腰を据えた取り組みが求められる。

 

 

http://www.kahoku.co.jp/news/2013/06/20130624t11024.htm