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グローバル環境NGOネットワークの「CAN-I」、パワハラや差別行為発覚の代表 Wael Hmaidan 氏を解雇。独立調査委が不適切行為を確認。自殺した女性職員には触れず(RIEF)

2019-01-24 22:32:57

CAN-Iキャプチャ

 

  国際的な環境NGOのネットワーク組織であるClimate Action Network International(CAN-I)は、代表(Executive Director)の Wael Hmaidan 氏の解雇を発表した。Hmaidan氏は昨年11月、女性職員らスタッフへのパワハラや不適切行為が発覚し、休職扱いとなっていた。CAN-I理事会はその後、独自の調査を実施、同氏の不適切な行為を正式に確認し、処分に踏み切った。

 

 CAN-I理事会は処分と同時に、同団体のスタッフに向けた謝罪を発表した。Hmaidan氏は、2012年からCAN-Iの代表を務め、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)では、各国の環境団体の取りまとめ役として記者会見を行うなどの役割も果たしてきた。

 

 その一面で、長年にわたって女性職員に対して過重労働を強いたり、パワハラや差別等の不適切行為を重ねてきたとされる。そのうちの一人の元女性職員はその後自殺している。同氏の行為を告発する内部からの投書がメディアに掲載され、事態が明るみに出た。http://rief-jp.org/ct7/85114

 

 CAN-I理事会は6週間にわたる独立調査委会の調査の結果、同氏が様々な不適切行為を多数のスタッフに及ぼしていたことの証言を得、今回の処分を決断したとしている。Hmaidan氏からは弁明等のコメントは寄せられていない。

 

 Can-Iのスタッフ数は20~30人規模だが、世界の1000を超える環境NGOとのネットワークを構築しており、その影響力は大きい。気候変動対策を求めるキャンペーンや資金調達、政治やビジネスへの働きかけなどでも中心的役割を担っている。Hmaidan氏はそうした政治的活動の代表格だった。

 

CAN2キャプチャ

 

 CAN-Iの調査で同氏の不法行為が立証された背景には、一昨年10月に自殺したHolly Bordayさんの父親、Robert Borday氏の呼び掛けの影響が大きかったとみられる。

 

 同氏は、自殺したHollyさんのかつての同僚たちに向けて、「気候活動に従事している人々へ」と題し、「娘の心を完璧に壊した職場風土について、話してもらいたい」と求める手紙を送り、Hmaidan氏の不正告発を求めた。このBordayさんの要請もあって、多くのスタッフが調査委員会に証言をしたとされる。

 

 ただ、CAN-I理事会の声明には、Holly Bordayさんの自殺についての言及はない。独立調査委は、今回の不祥事の要因として、CAN-Iのシステム面での欠陥を指摘し、ガバナンス面の点検を勧告している。理事会はハラスメント等のコンタクト先を理事会内部に設けるほか、人権とガバナンス問題に対処するための副委員会を設置するとしている。

 

 理事会は「われわれは今回の危機から、自らのスタッフや専門家を守れる、より健全で、より専門的な組織に発展していきたい。気候変動に対処する緊急性の増大に応じて、われわれ自身が気候危機と闘うために自らを最強の基盤とする必要がある」との決意も述べている。

 

http://climatenetwork.org/press-release/message-board-directors-climate-action-network-international