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「価値を大切にする金融実践者の会(JPBV)」、金融機関職員がソーシャルビジネス等を応援するプロボノ活動に取り組むプログラム提供へ(RIEF)

2019-09-09 13:25:58

JPBV1キャプチャ

 

 金融の新しい役割を見出すことを目指し、昨年末に発足した「価値を大切にする金融実践者の会(JPBV)」が、金融機関職員が自らの経験を生かして、NPOやソーシャルビジネスを応援する「プロボノ・プログラム」に取り組む。プログラムの成果として、ソーシャルビジネス等は新たな事業価値を得て外部資金調達に道が拓ける。金融機関職員は社会活動の手応えを踏まえ、コミュニティの活性化も進む期待がある。

 

 JPBVは、欧州中心に展開するサステナブルバンキングの国際ネットワークである「The Global Alliance for Banking on Values(GABV)」が提唱するバリューベースバンキング(価値を大切にする金融)をモデルに発足した。GABVは環境、社会、経済のトリプルボトムラインの達成を重視した銀行経営を展開する各国の金融機関の連携組織。

 

 GABVは、単に借り手に融資するだけではない。環境への配慮、借り手企業・コミュニティへの配慮、あるいは借り手企業・コミュニティと一緒になって、それぞれの地域で「価値を大切にする金融活動」を展開している。日本では昨年、第一勧業信用組合(東京)がメンバーに加わった。

 

JPBV2キャプチャ

 

 バリューベースバンキングをモデルにするJPBVは、日本の金融機関とコミュニティのNPOや零細企業、ソーシャルビジネス等の「距離」を埋めるとともに、ソーシャルビジネスの事業価値を高めるプログラムを金融機関の職員が積極的に関与して進めよう、との考えで、今回のプロボノ・プログラムへの取り組みを決めた。

 

 プロボノとは、ボランティアだが単純な労働提供だけではない。各分野の専門家が、自らの職業上の知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動全般をいう。今回のプログラムでは、地域の金融機関の職員は、金融業務で培った企画立案、財務、モニタリング等の知識を元に、対象となるNPOやソーシャルビジネスの事業価値をアップさせる計画立案のプロボノ活動を展開する。

 

 同計画は「社会を変える」計画と名付けた。金融機関から派遣される職員らは派遣先のNPOなどごとに、5人前後でチームを結成する。彼らは勤務時間外に集まり、派遣先の人々と会合を重ね、4カ月間の予定で「計画」を立案。ソーシャルビジネスの「新しい価値」を提示して、他の人々からの応援を受け易くする。

 

プロボノプログラムを主催する木村さん
プロボノプログラムを主催する木村さん

 

 実際にプログラムを主催するのは合同会社「めぐる」(名古屋)。中心になっているのは、同地でNPOバンク「momo」を13年間育ててきた木村真樹さん。「momoの時に、地域の信用金庫などの職員の方々とともに、支援先のNPOなどを応援した経験が元になっている」と明かす。

 

 「めぐる」はJPBVの金融サポーター会員でもある。JPBVの事務局長で、株式会社「URUU」代表取締役の江上広行さんはプログラムのアドバイザーとして参加する。

 

 計画では、今年11月末までに、プロボノ活動に職員を派遣したい金融機関を募集する。派遣可能な職員の数を確認してから、派遣先になるNPOやソーシャルビジネスの事業者募集を行う。来年1月末までに事業者を決定、2月以降に活動を実施する。

 

 「社会を変える」計画が確定したら、その計画に賛同してくれそうな市民から、資金(継続寄付)を集める計画を立てる。資金調達は、木村さんが別途運営するウェブサービスの「凸と凹(でことぼこ)」で、地域の人々から継続的な寄付を得られるよう呼びかける手順だ。ちなみに「凸と凹」は、地域の穴(凹)をみんなで埋める(凸)ため地域の資金循環の仕組み、との位置づけだ。

 

 JPBVには現在、24の金融機関(団体含む)が会員として登録されている。地方銀行から信用金庫、信用組合、労働金庫。いずれもコミュニティに立脚する金融機関だ。プロボノ活動で「地域の価値」を高めることで、地域金融機関自身の価値の向上も期待したいところだ。

https://jpbv.jp/

https://deco-boco.jp/

https://www.meguru.social/