HOME8.温暖化・気候変動 |2018年度の日本の温室効果ガス排出量、速報値より微減。依然、京都議定書の目標比では「未達」。新型コロナの影響で、19、20年度の減少継続予想と、その後のリバウンド懸念も(RIEF) |

2018年度の日本の温室効果ガス排出量、速報値より微減。依然、京都議定書の目標比では「未達」。新型コロナの影響で、19、20年度の減少継続予想と、その後のリバウンド懸念も(RIEF)

2020-04-14 14:21:01

GHG1キャプチャ

 

 環境省は14日、2018年度の温室効果ガス排出量の確報値を発表した。CO2換算の総排出量は12億4000万㌧で、前年度比3・9%減少。昨年12月発表の速報値より、400万㌧の微減だった。同省は14年度以降5年連続減少したとしているが、京都議定書の基準年の1990年度比では2.8%減で、京都メカニズムによる他国からのクレジット購入等を除くと、同議定書目標(6%減)を依然、達成できていないことになる。19年度、20年度は、新型コロナウイルス感染の影響による経済活動の停滞で、減少が進む可能性があるが、その後のリバウンドも懸念される。

 

 同省は昨年12月発表の速報値で、温室効果ガス総排出量を12億4400億㌧、前年度比3.6%減と発表していた。今回の確定値で全体が微減したため、減少率も3.9%減と0.3%改善した。排出量が順調に減少したのは、再生可能エネルギー発電の普及、省エネ推進、暖冬でのエネルギー需要の減少、さらに原子力発電所の稼働などが影響した、と説明している。https://rief-jp.org/ct8/96683

 

 日本はパリ協定で、温室効果ガスの排出量を2030年度に26%減(13年度比)とする国別対策貢献(NDC)を公約している。18年度の排出量は13年度比では12.0%減で、公約の半分弱を達成している形になる。環境省は「順調に推移しているが、(達成の確実性については)楽観はできない」としているという。

 

 同省はパリ協定の現行NDC目標の達成を目指しているが、国連では各国が公約した現行のNDCsでは、パリ協定の目標を達成するには不十分として、COP26に向けて、目標引き上げを要請している。だが、日本が先に提出した改正NDCでは、目標値は変更しておらず、環境NGOらからは失望が示されている。

 

 また、総排出量は減少しているが、強い温室効果効果のある代替フロン「ハイドロフルオロカーボン類」の排出量は2000年代前半から増え続けている。代替フロンは、エアコンや冷蔵庫などの冷媒に使われるが、廃棄時の回収が不十分なことが理由として、同省は廃棄処理規制を強化する「改正フロン排出抑制法」を4月1日から施行した。

 

 経年的にみると、18年度の排出量は、2005年度以降で最小だった2009年度(12億5100万㌧)をさらに下回った。同年度はリーマン危機の影響でグローバルに経済活動が急減した時期だった。しかしその後、景気回復が進み、わが国の排出量も5年連続で上昇を続け、13年度に過去最高の14億1000万㌧の排出量を記録している。

 

 この間に、東日本大震災による東京電力福島第一原発事故により、全国の原発稼働が停止する事態もあった。今回も新型コロナウイルス感染の影響による景気低迷で温室効果ガスの排出量減少が続くほか、その後の景気回復による排出量増大のリバウンドも懸念される。

 

 排出部門別では、最も排出量の多い発電等のエネルギー転換部門が、前年比7.4%減、工場等の産業部門が同2.4%減、自動車等の運輸部門が1.2%減、オフィスやお店・サービス等の業務部門は、唯一増加し3.7%増。家庭は12.0%減と二ケタ減少を記録した。家庭の省エネ対応は進むが、オフィスが課題、ということになる。

 

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http://www.env.go.jp/press/files/jp/113761.pdf