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世界でもっとも電気自動車普及が進むノルウェー、新型コロナ感染で自動車販売低迷の中で、今年上半期の新車販売のほぼ5割(48%)はEV。個人が進める「グリーンリカバリー策」(RIEF)

2020-07-07 17:12:05

Osro001キャプチャ

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で自動車の売れ行きが低迷しているが、その中で、世界で最も電気自動車(EV)比率の高いノルウェーでは、今年上半期の新車販売に占めるEV比率がほぼ5割に迫る48%と過去最高になった。同国は2025年にすべての新車販売をEVにする目標を掲げている。

 

 ノルウェー道路連盟(NRF)によると、コロナ感染の影響で、ノルウェーでも上半期の自動車販売は前年同期比24.3%減の5万9224台に下がった。このうちEVの売れ行きも下がったが全体より緩やかな同19%減にとどまった。その結果、販売全体に占めるEV比率は48%で前年同期の45%、2019年全体の42%を上回った。 もっとも売れたブランドは「Audi e-tron」。

 

 国際エネルギー機関(IEA)によると、グローバル市場ではEVは3%を占めるだけ。しかもIEAのデータはプラグインハイブリッド車(PHV)も含めた数字だが、ノルウェーではPHVは入れずに、EVだけでほぼ過半に達したことになる。

 

最も売れたAudiの「e-tron」
最も売れたAudiの「e-tron」

 

 ノルウェーは2025年にすべての新車販売をEVにすることを決めている。これは英国(2035年)、フランス(同2040年)より早い。そのため政府は、EV購入者に対する減税、道路通行料減額、駐車自由などの恩典を与えて、購買を促進している。

 

 新車販売の「ほぼ半分」までに迫ったが、EVオーナーで組織するノルウェー電気自動車協会(NEVA)の副代表のPetter Haugneland氏によると、「『2025年EV100%化』を達成するには、遅れ気味で、年末までに50%超になる必要がある」という。さらに「今回の『ほぼ5割』はコロナの影響で売れ行きの低迷が相対的に低かっただけ。販売ブレーキは短期間にとどまってほしい」と指摘している。

 

 IEAの最新の分析では、コロナの影響で世界の乗用車市場は前年比で15%縮まるとみられる。そのうち、EVの売れ行きは全体的にほぼ安定的に推移するとみる。IEAのエネルギー・運輸アナリストのMarine Gorner氏は「EV市場は自動車市場全体よりコロナの影響は少ない。EVの売れ行きには各国の追加的な販売促進策も影響する」と指摘している。

 

 今後の展開は、コロナ感染の第二派があるかどうか等で変わってくる。欧州が再び都市封鎖等の措置を取らざるを得ないと、「自動車移動」も制約され、販売にも影響が出るとみられるが、現時点では予測がつかないとしている。

 

 2019年全体では、EVのグローバルなシェアは、日本、韓国、米国を除くすべての国で増大した。日本の場合、ハイブリッド車の普及率が高いことがEV需要を弱めている面がある。米国では、化石燃料産業を好むトランプ政権が、自動車の排ガス規制の緩の措置等をとっており、規制の厳しいカリフォルニア州等を除き、EV需要が抑えられている面がある。

 

 EVの最大市場は中国。世界全体のEVの47%に相当する720万台のEVがすでに市中を走っている。同国では2022年まで10%の自動車購入税を新車のEVには免除し普及を図っている。フランスも6月から古いガソリン車を廃車にしてEVに乗り換える場合、1万2000ユーロの割引を受けられる。例えば、ルノーのEV「Renault Zoe」は販売価格3万2000ユーロだが、この割引を使えば、2万ユーロで購入できる。

 

 コロナ対策で、新車はEVに乗り換える、という動きがさらに広がれば、EV普及はグリーンリカバリー策の一つにもなる。

https://elbil.no/english/about-norwegian-ev-association/

https://www.fleeteurope.com/en/tags/norwegian-road-federation