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中国で初の「気候変動のための登校拒否(School Strike)」実践の少女に、中国当局が圧力。学校への復学の条件として抗議行動停止を警告。香港問題が影響か(RIEF)

2020-07-20 16:40:53

OuChina001キャプチャ

 

 中国で初めて「気候変動対策を求める登校拒否(School Strike)」運動に参加した17歳の少女が中国当局から、抗議活動を停止しないと、退学させるとの警告を受けていることがわかった。中国はパリ協定から脱退した米国とは違い、協定を支える姿勢を強調しているが、香港問題等で街頭抗議行動すべてを取り締まる方針に出てるとみられる。

 

 中国で気候変動ストライキを実施してきたのは、中国南部の桂林市の高校生、Ou Hogyi(Howey)さん(17)。昨年秋から、友人とともに、グレタ・ツェンベリさんが呼び掛けた「金曜日のストライキ」を中国でも実践。州政府の事務所前等で「気候危機」への行動強化を訴える活動を続けている。

 

 Howeyさんは、2018年末に通っていた広西師範大学(Guangxi Normal University)の系列学校の国際プログラムに不適格とされ、独自でTOEFL試験への合格を目指してきた。その後、両親の勧めもあり、高校に復学、大学進学を目指そうとした。だが、当局から「気候変動への抗議行動を止めない限り、復学は認められない」との通告を受けたという。

 

 両親は再三、地域の教育委員会に呼び出された。Howeyさんの抗議行動を止めさせ、外国メディアのインタビューも受けないよう要請されたという。高校の校長も復学のためには、抗議行動の停止を約束するよう求めてきた。

 

 しかし、Howeyは「抗議行動を止めるわけにはいかない。もっと多くの人々に気候変動の重大さを知ってもらいたい」と語っている。当局は復学の条件として心理テストを受けることも求めているという。

 

 父親のOu Junさんは英メディアの取材に対して、彼らは娘の抗議活動を止めさせたくはない、しかし、学校に復学できないと、彼女の将来にも不安があるため、悩んでいると明かす。「学校に戻り、卒業して大学に入ることで、気候変動以外の課題にも関心を持つようになればと思うが」と。

 

 中国政府はこれまで若者たちの「気候ストライキ」をある意味で、黙認してきた。周近平主席がパリ協定への積極的な貢献を約束しているほか、「生態環境の振興は文明の振興につながる」との基本方針を打ち出していることもある。気候変動対策の促進を求めることは、政府にとって危険な政治運動とはみなされない形だった。

 

「何であれ、抗議行動は取り締まり対象」に転じたか・・
「何であれ、抗議行動は取り締まり対象」に転じたか・・

 

 しかし、ここにきて中国当局が「アクティビスト」のHoweyさんの行動を封じるような圧力をかけてきたことに対して、香港問題が影を落としているとの見方が出ている。香港への国家安全法の適用に若者を中心に多くの市民が反発し、デモを続けている現状の影響だ。「抗議行動の対象よりも、集団行動はすべて封じ込めるとの姿勢に転じている」(Kecheng Fang香港中文大学准教授)。

 

 気候変動対策に関心を持つことは禁じられていないものの、そのための政府の対策が不備であるとの批判に転じることへの警戒は出ているとみられる。Howeyさんは、復学に関する学校や政府当局の条件緩和を待つ一方で、新たなイニシアティブとして「Plant for Survival」と呼ぶ植林活動を展開している。

 

 若者を中心に、温暖化を防ぐために一本でも多くの木を植えようというものだ。昨年11月から今年1月までですでに300本以上を桂林市内で植えたという。Howeyさんの気候対策に取り組む熱意は一向に衰えていない。

 

https://www.theguardian.com/world/2020/jul/20/chinas-first-climate-striker-cant-return-to-school