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バイオマス発電に関する固定価格買取制度(FIT)見直しを。輸入木質バイオマス、パーム油事業等は、GHG削減が不十分。認定制度に「抜け穴」。環境NGOのFoE Japanが経産省に要請(RIEF)

2020-07-22 18:03:35

FoE002キャプチャ

 

 環境NGOのFoEJapanは、経済産業省の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)対象となっているバイオマス発電について、現行制度では温室効果ガス(GHG)排出削減が十分期待できない事業や、パーム油燃料など生物多様性破壊等につながる事業が含まれているとして、バイオマス発電に関するFIT制度の見直しを求める要請書を、同省と資源エネルギー庁に提出した。バイオマス発電の環境負荷については、EUなどでも見直しの動きが進んでいる。

 

 (写真は、パーム農園開発のために造成された泥炭地:インドネシア・西カリマンタン州:FoE Japan)

 

バイオマス発電は国内の森林資源の間伐材等の木質ペレットを燃料にしたものもあるが、最近は、東南アジア等の熱帯林の伐採を前提にした木質ペレットや、パーム油、同椰子殻(PKS)などの輸入燃料依存のものが増えている。FoE Japanは「多くの輸入バイオマス燃料は、栽培・加工・輸送・燃焼を含むライフサイクル全体でみると、化石燃料に匹敵するGHGを排出する。決して炭素中立ではない」と指摘している。

 

FoEJapan001キャプチャ

 

 FIT対象となるバイオマス燃料の「合法性、持続可能性」については、FITの「事業計画策定ガイドライン」の中で、パーム油はRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)とRSB(持続可能なバイオ燃料に関する円卓会議)による第三者認証による確認が盛り込まれた。

 

 ただ、FoE Japanは、「その場合でもGHG評価は新規燃料に限定するなど不十分」と指摘している。また輸入木質ペレットの認証には、林野庁ガイドラインを使うが、「同ガイドラインは合法性・持続可能性の証明を事業者任せにしているような内容で、抜け穴が多い」と批判している。

 

皆伐され、木質ペレットに加工される前の材木
皆伐され、木質ペレットに加工される前の材木

 

 こうした問題指摘のうえで、FoE Japanは5つの提言をしている。

 

 ①ライフサイクルを通じてのGHG排出削減が十分期待できない事業や、パーム油燃料事業、放射性物質などの汚染物質が含まれる燃料を想定している事業は、FIT対象から除外すべき。

 ②輸入木質バイオマスの「合法性・持続可能性」の確認手法を検討し、ガイドラインに盛り込む。

 ③事業者に対して、環境影響評価の実施と地域住民への十分な説明、情報公開、合意の取得を求めること。

 ④事業者に対して、事業のライフサイクルを通じてのGHG排出に関する評価・その根拠、燃料の種類・生産地、持続可能性証明に関する情報開示を求めること。

 ⑤住民や第三者から事業への疑義が提起された際、適切に調査し、解決するためのメカニズムを導入すること。

(RIEF)

https://www.foejapan.org/forest/biofuel/pdf/200714_meti.pdf