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今夏の北極海の海氷面積、史上2番目に縮小。2010年前の30年間平均比で、4割も減少。温暖化の加速化進行を示す。NASAとNSIDCの共同調査(RIEF)

2020-09-23 16:03:32

NASA001キャプチャ

 米航空宇宙局(NASA)と米国立雪氷データセンター (NSIDC)によると、北極海の海氷面積は今月15日に今年の年間最小規模の374万㎢になったとみられる。これは過去40年間で、2012年に次いで2番目に小さい規模にまで縮小したことになる。北極海の海氷の減少は温暖化の加速を示す指標となっており、今年の海氷面積は、2010年までの過去30年間と比較して、約4割分、小さくなっている。

 

 北極圏の海氷は、毎年、秋から冬にかけて拡大し、春から夏にかけて溶けて縮小することを繰り返している。今年は春に北極圏のシベリア地方の気温が高く、北極海の海氷が解け始めるのが早かった。海が海氷で覆われていると海氷が太陽光を反射するが、海氷が少ないと、海水が太陽光を直接受けて熱を吸収し、水温が上がりやすくなる。するとさらに海氷が解ける「カスケード循環」になる。

 

毎年9月の平均海氷面積の推移
毎年9月の平均海氷面積の推移

 

 この夏の北極圏の気温は平年に比べて、8℃~10℃も高く、シベリアの北極圏内のサハ共和国の小さな村、ベルホヤンスクでは6月に観測史上最高の38.0℃の気温を記録し、世界の話題を集めた。

 

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 この夏の北極海の状況は、史上最小の海氷となった212年に比べると、北米大陸側のボフォート海の海氷は今年のほうが多かったが、ロシア側のラプテフ海や東グリーンランド海のあたりでは、今年のほうが少なかったという。

 

 海氷が海を覆っていると、太陽光を遮るので、海洋の温度上昇を防ぐことができる。海氷が少なくなると、太陽光が直接、海洋に降り注ぐので海洋の温度が上昇し、その影響で海氷の溶融が加速することになる。また最近の傾向として夏冬の変化に関わらず凍り続けている「万年海氷」が年々、薄くなっているという。海氷のベースになる「万年海氷」が次第に溶け出すと、海氷の減少スピードが速まることも予想される。

https://nsidc.org/arcticseaicenews/