HOME10.電力・エネルギー |自然エネルギーの比率が2020年1-6月で23%に上昇、2030年の政府目標を10年前倒しで到達。自然エネルギー財団「30年目標を少なくとも45%に引き上げ」を要請(RIEF) |

自然エネルギーの比率が2020年1-6月で23%に上昇、2030年の政府目標を10年前倒しで到達。自然エネルギー財団「30年目標を少なくとも45%に引き上げ」を要請(RIEF)

2020-09-25 15:28:00

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 自然エネルギー財団は25日、日本の今年上半期(1~6月)の発電電力に占める自然エネルギーの比率が23%に達したことを明らかにした。政府が2030年目標とする22~24%を上半期だけだが、事実上、10年前倒しで達成したことになる。上半期は再稼働した原発のうち4基が安全対策が整わず運転停止するという環境下での自然エネ増進となった。同財団では日本の30年目標を少なくとも45%削減に引き上げるよう提唱している。

 

 同財団のトーマス・コーベリエル理事長と、上級研究員のロマン・ジスラー氏が共同執筆で紹介した。データは国際エネルギー機関(IEA)のMonthly  Electricity Statisticsから 集計した。それによると、上半期合計の発電電力量は4640億kW時。このうち石炭とガスが各31.6%と最も多く、これに石油(4.0%)を加えると、化石燃料発電は依然、67.2%と3分の2を占める。

 

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 一方、自然エネルギーは23.1%と過去最も高い比率となった。このうち、水力が10.3%、太陽光9.0%が最も多く、バイオ・廃棄物(2.5%)、風力(1.0%)、地熱(0.3%)となっている。

 

 両氏の分析によると、2011年から2020年までの10年間に、日本の電力をめぐる状況は一変。特に原発の破たんが大きな変化をもたらした。電力会社が莫大な資金を投じて建設・運転してきた原発は2010年度に国全体の発電電力量の25%だったが、2019年度に6%へ低下。 同じ時期に自然エネルギーは10%から19%へ、ほぼ倍増のペースで伸びている。自然エネ増加の要因は、電力市場の自由化と固定価格買取制度(FIT)の導入による。



  今年上半期の自然エネ比率23%は、政府がパリ協定で公約した2030年の自然エネ導入目標の「22~24%」のちょうど真ん中。22~24%は2015年に定めた目標で、15年後の達成を目指したが、すでに5年目の今年上半期で、10年も早く到達したことになる。両氏は「国が日本における自然エネルギーの導入可能性を過小評価していたことを示している」と指摘している。



 そのうえで、世界の他の地域と同様に日本でも、自然エネは原子力より安定して供給できる低炭素な電力であり、自然エネによる電力供給は素早く低コストで拡大できるとして、政府に対して2030年の自然エネ導入目標の引き上げとともに、脱炭素戦略での原発の位置づけの引き下げを早急に実行すべき、と要請している。



 新たな30年目標について、両氏は新たに就任した菅義偉首相が外国メディアに対して「30%以上の引き上げの意向」を示したことに触れ、「少なくとも 45% を目標に掲げることを求めたい」としている。

https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20200925.php