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韓国の文在寅大統領も、「2050年温室効果ガス実質ゼロ」目標を掲げる。日中韓の3カ国が「ネットゼロ」でそろい踏み。いずれも明確なロードマップは伴わず(RIEF)

2020-10-28 20:56:35

Korea001キャプチャ

 

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、国会で2021年度予算案に関する施政方針演説を行った。この中で、2050年に国内の温暖化ガス排出をゼロにする目標を掲げると表明した。日本や中国が相次ぎ脱炭素目標を宣言するなか、韓国も国際社会に歩調を合わせる姿勢を示した形だ。

 

 韓国は今年4月15日の総選挙で文大統領が率いる与党が勝利したが、選挙のマニフェストでは「カーボン実質ゼロ」を掲げていた。文大統領の発言は、こうした経緯も踏まえたものとみられる。韓国の現在の電源構成は、石炭火力が43%、原子力発電27%等となっている。文大統領は、脱原発を示すとともに、石炭火力についても段階的に廃止する方針を示している。

 

 同氏は来年度予算で、温暖化対策に関連して8兆ウォン(約7400億円)を投じて、環境に配慮したインフラ整備や電気自動車の普及などを進める計画を示し、「新たな産業や雇用をつくる」と強調した。同氏は「国際社会と共に気候変動に積極的に対応していく」と述べ、石炭火力を再生エネルギーへの置き換えを加速し、電気・水素自動車の普及を進める考えを示した。

 

 東アジアでは、中国の習近平主席が9月の国連総会で、2060年までにCO2実質ゼロを目標に掲げたことを受けて、日本の菅首相が今週初めに「2050年までに実質ネットゼロ」を宣言した。文大統領の宣言はこれに続くもので、日中韓が2050年近辺での実質CO2ゼロ目標を揃って掲げたことになる。ただ、いずれの国も、目標を達成するための明確なロードマップを示していない。

 

 政権トップの「政治的リップサービス」の段階から、「実質ゼロ」の達成に向けたロードマップを作成して、市場の信頼を得ることができるかどうか。次は日中韓3か国の政策力が試される。文大統領はこのほか、この日の演説で、部品や素材の国産化を一段と推進する考えを示した。日本が強化した半導体材料の輸出管理措置を念頭に「日本を超え、世界に向けて成長していく」とも訴えた。

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