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衆院本会議、「気候非常事態宣言」を超党派で採択。「現行の各国目標では不十分」「脱炭素社会への取り組み強化」を宣言。宣言を生かすには、国会の役割である法律制定が望まれる(RIEF)

2020-11-21 18:28:35

shuginキャプチャ

 

 衆議院は19日の本会議で、「気候非常事態宣言」を採択した。決議では、「各国が掲げている目標を達成しても必要な削減量には大きく不足しており、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面している」と指摘。「一日も早い脱炭素社会の実現に向けての取り組みの強化」を宣言した。決議を可決したのなら、早急に「2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ」法案を超党派で制定すべきだ。

 

 決議は元環境相の鴨下一郎議員(自民)ら超党派の議員による共同提案。提案者の一人、古川元久議員(国民民主)が趣旨説明を行った後、可決した。

 

 決議は、「世界はパリ協定の下、温室効果ガスの排出削減目標を定め、取り組みの強化を進めているが、各国が掲げている目標を達成しても必要な削減量には大きく不足しており、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面している」と指摘。

 

 続いて、「一日も早い脱炭素社会の実現に向けて、我が国の経済社会の再設計・取り組みの抜本的強化を行い、国際社会の名誉ある一員として、それに相応しい取り組みを、国を挙げて実践していくことを決意する」とした。

 

 決議を受けて小泉進次郎環境相は、「政府としては、決議の趣旨を十分に尊重し、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる2050年カーボンニュートラルに向け取り組みを加速させる。これにより環境先進国日本の復権を果たしていく所存」と発言した。

 

 「気候非常事態宣言」は、2016年12月に、オーストラリアのデアビン市が「気候非常事態」を宣言したことが始まり。各国の政府や自治体などの組織が、気候変動が異常な状態であることを認識し、地球温暖化の対策に取り組む決意の表明を広げている。

 

 日本では2019年9月に長崎県壱岐市が初めて宣言した。同年12月6日には長野県が都道府県初の表明をするなど、各地に広がっている。ただ、非常事態の認識をするだけでは、温暖化対応は進まない。国や自治体に求められるのは、非常事態に対応する公的な政策措置である。

 

 特に国会に求められるのは、わが国として実施すべき温室効果ガス削減対策を法的にしっかりと位置付けることである。欧州諸国は気候変動法を策定、「2050年ネットゼロ」を法的目標として明記し、その目標達成のための中期計画、さらに毎年の予算措置を定めている。

 

 日本も毎年の予算措置において重点対策として温暖化・気候変動対策の予算を確保し、年間のCO2排出削減計画を積み上げていく措置が求められる。今回、衆院が超党派で決議を採択したことを踏まえて、政府与党が法案を提出することが求められる。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/topics/ketugi201119.html