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電源開発(Jパワー)、オーストラリアで褐炭から水素製造事業実証化。製造時に排出されるCO2は現地でCCSを使い貯留。「ブラウン」⇒「ブルー」になるか(RIEF)

2021-02-02 13:22:52

Jpower001キャプチャ

 

 電源開発(Jパワー)は、オーストラリアで産出する褐炭から水素を製造し、日本に輸入するプロジェクトの実証事業を開始したと発表した。褐炭は水分や不純物が多い低品位な石炭で、現地でも大半が未利用状態という。褐炭を利用して水素製造する工程ではCO2が発生するため、「ブラウン水素」だが、将来的には同国政府が別途進めているカーボン回収貯留(CCS)プロジェクトと連携して回収し、地下貯留を行うとしている。

 

 (写真は、開発した水素を日本にまで輸送する水素輸送船)

 

 開発するのはオーストラリアのビクトリア州で産出する褐炭資源。Jパワーは「日豪水素サプライチェーン構築実証事業」に参画する。事業には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)および、豪州政府からそれぞれ補助金を得るほか、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)と豪州側のコンソーシアムも参画する。

 

 Jパワーは、同プロジェクトで、褐炭から水素を製造する分野を担当している。プロジェクト拠点となるビクトリア州のラトロブバレーではすでに水素製造を行う実証設備が竣工し、褐炭ガス化による水素製造を開始した。製造した水素は液化され、同州ヘイスティングス港から液化水素運搬船で、神戸市の神戸空港島の液化水素受入基地へ輸送される。

 

「ブラウン」褐炭を「ブルー」水素にするプロセス

「ブラウン」褐炭を「ブルー」水素にするプロセス

 

 褐炭は、石炭化度が低く水分や不純物が多い低品位な石炭です。豪州ビクトリア州には大量の褐炭が存在する。だが、水分を多く含み、乾燥すると自然発火の危険性が大きいことから輸送に適さず、採掘地周辺の発電所で限定的に消費されているが、多くが未利用になっている。

 

 褐炭から水素を製造する工程では、火力発電所と同様に、大量のCO2が発生する。これを吸収するCCSプロジェクトについては、Jパワーの発表では「将来的には豪州連邦政府・ビクトリア州政府が進めているCCSプロジェクトと連携し、地下貯留を行う 計画」としているが、計画のメドは現時点では示されていない。

https://www.jpower.co.jp/news_release/2021/02/news210201.html

https://earthresources.vic.gov.au/projects/carbonnet-project