インド北部のヒマラヤ山間部で、氷河が崩壊。下流で水力発電所建設工事時従事していた人など約120人以上が行方不明。14人がすでに死亡。温暖化の影響と森林伐採の拡大が原因か(RIEF)
2021-02-08 13:44:54
各紙の報道によると、インド北部のウッタラカンド州のヒマラヤ山脈の山間で、氷河の一部が崩壊して、川が氾濫し多数の犠牲者を出した。下流の水力発電所の建設現場にいた作業員等が巻き込まれ、少なくとも14人が死亡、約120人以上が行方不明になっているという。環境団体等は、温暖化の影響と、森林伐採による生態系破壊の進行が表が崩壊の原因と指摘している。
(写真は、崩壊した氷河からの増水が一気にダムを破壊する場面=BBC放送から)
AFP等が7日伝えた。同州のナンダ・デビ(Nanda Devi)国立公園を流れる川沿いには、約14の氷河がある。これらのうち、Dhauli Ganga川沿いの氷河の一つが崩壊、下流でのタポヴァン地区で建設中だったリシガンガ(Rishiganga )水力発電所を一気に破壊した。
その結果、発電所で作業をしていた作業員約30人がトンネルに閉じ込められ、懸命の救助活動が展開された。ダムが破壊される様子を目撃した住民は「まるで『ボリウッド』の映画のシーンを見ているようだった」と語っている。氷河の崩壊で膨れ上がった濁流は、建設現場だけでなく周辺の住宅も飲み込んで、洪水を引き起こした。
同地域一帯は、気候変動と森林伐採に対する懸念が高まっているため研究の対象となっている。ただ、ウッタラカンド宇宙応用センターの所長のM.P.S. Bisht氏は、「川の集水域での大規模な崩壊が起きるのは一般的な現象」と説明している。しかし、現地の環境NGO「Swechha」の創設者は、自然からの気候変動の影響についての「厳しい警告」と指摘している。
ウッタラカンド州警察はこれまで14人の死亡が確認されたと発表。行方不明者の数も錯綜している。行方不明者の多くは水力発電工事の作業員で、一気に押し寄せた氷河の濁流に、飲み込まれて押し流されたという。
モディ首相はツイッターに「現地の状況を注視している。すべての人々の無事を祈っている」と投稿した。同首相は地元当局と緊密に連絡を取り、対応しているとして説明した。ジョンソン英首相も「英国は常にインドとともにあり、必要な支援の準備がある」とツィートしたほか、他国からも支援、協力の声が寄せられている。
(同記事は、2021年2月8日午後2時55分に更新しました)