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大成建設、製造時のO2排出量をマイナスにできる「カーボンリサイクル・コンクリート」開発。CO2貯留能力はCCSと同程度。特別の設備不要。鉄筋腐食効果も(RIEF)

2021-02-24 14:30:19

(写真は、開発したカーボンリサイクルコンクリートの断面図)

 

 大成建設はコンクリートの製造過程で排出されるCO2を、工場の排ガス等から回収したCO2から製造する炭酸カルシウムを用いて、コンクリート内部にCO2を固定する「カーボンリサイクル・コンクリート」を開発した。同技術を活用すると、コンクリート製造に伴うCO2収支をマイナスにできるという。また内部の鉄筋の腐食も防ぎ、コンクリートの長寿命化につながる。

 

写真は、開発したカーボンリサイクルコンクリートの断面図)

 

 同社によると、開発したのは、カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」というシステム。現在、資源エネルギー庁主導で、カーボンリサイクルの開発が進められている。従来のリサイクル方式は、回収したCO2を、直接、コンクリートに吸収させる手法が主流。

 

   この場合、コンクリートが中和され、鉄筋の防錆機能を失う欠点がある。また、CO2の吸収を容易にするため、コンクリート内に微細な空隙を増やす構造にすることで、コンクリート強度が低下する等の課題があった。

 

 そこで同社は、自社の「T-eConcrete」の開発で蓄積したCO2排出量を削減するコンクリート技術等を使って、回収したCO2から製造するカーボンリサイクル材料の炭酸カルシウムを、製鋼副産物である高炉スラグ主体の結合材により固化させることで、コンクリート内部にCO2を固定する手法を開発した。

 

taisei001キャプチャ

 同手法だと、炭酸カルシウムの添加により、コンクリート1㎥当たり70kg~170kgのCO2を固定できるという。これはCO2を回収貯留するCCS技術の固定量に匹敵する。また、コンクリート材料内部にCO2を固定し、高炉スラグを使用することで、製造過程のCO2収支は1㎥当たりマイナス55kg~同5kgにできる。普通コンクリートの製造時のCO2排出量は㎥当たり250~330kgとされるが、これがマイナスになるわけだ。

 

 また同手法では、回収したCO2を、製造時に直接、コンクリートに吸収させないため、強アルカリ性を保持することができる。そのためコンクリート内部の鉄筋の腐食を防ぎ、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を維持できるメリットも生じる。

 

 さらに、CCSのような特別の設備装置は不要で、生コン工場の通常設備で製造可能。強度特性等もこれまでの普通コンクリートと同レベルで、従来の設計、施工、施工監理に関する技術と経験を活用できる利点もあるとしている。

https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210216_5079.html