HOME |G7サミット、CCS等のない石炭火力発電事業は「直ちに停止」、海外石炭事業への公的ファイナンスも年末までに停止。気候・環境分野の義務的情報開示を支持(RIEF) |

G7サミット、CCS等のない石炭火力発電事業は「直ちに停止」、海外石炭事業への公的ファイナンスも年末までに停止。気候・環境分野の義務的情報開示を支持(RIEF)

2021-06-14 13:55:04

G7002キャプチャ

 

 英国・コーンウォールで開いていた主要7カ国(G7)首脳会議は13日、コミュニケを採択して終了した。気候・環境関連では、世界の気温上昇を産業革命前から1・5度上昇にとどめることを共通の目標とすることを再確認した。石炭火力発電(CCS等がない場合)事業は直ちに停止し、そうした事業へのG7諸国による海外での公的ファイナンスも今年末までに停止するとした。またグローバルベースでのグリーンファイナンス市場に資するため気候・環境分野の義務的情報開示への支持を表明した。

 議長国のボリス・ジョンソン英首相は、新型コロナウイルス感染対策でワクチン接種が広がってきたことを賞賛するとともに、「気候変動に対して協働しないと、未来の発展を得ることはできない。G7諸国は気候変動削減の行動を開始することで合意した。われわれの目標をできるだけ早期に達成すると同時に、途上国への支援も展開する」と強調した。

 

  コミュニケではコロナ禍からの経済回復のため、グローバルに12兆㌦の回復プランが進んでいることを強調。必要に応じて、さらなる経済対策の継続をコミットするとともに、危機対応から、雇用創造、インフラ投資、イノベーション加速、人々への支援、そして未来の成長促進へとシフトさせることを確認した。

 

G7004キャプチャ

 

 気候・環境分野では、脱炭素のエネルギー政策の推進をうたい、「国際的な化石燃料エネルギー事業への新規政府支援を、パリ協定の目標と整合する例外を除いて、できるだけ早く停止する」とした。石炭火力については「最大の温室効果ガス排出増の原因」と位置付け、国内においては、2030年目標と整合するよう移行を促進するため、(CCS等の)技術開発と政策転換を進めるとした。

 

 加えて、「脱石炭」政策は、国際的な「公正な移行」と整合的でなければならないとし、通常の石炭火力向け投資は「1.5℃目標」と整合しないと断言した。そのうえで、「(CCS等がない)石炭火力向け投資は直ちに停止されねばならない。政府によるそうした国際的な事業への新規投資は年末までに終了することを約束する」とした。民間による石炭開発の停止を求め、政府による公的ファイナンスは政府開発援助(ODA)を含めて終了する。ただ、「新規政府投資」と明記したことで、すでに計画が進行中の事業への支援は、暗黙に認める形となった。

 

 化石燃料事業への政府補助金については、G7諸国では2025年までに廃止するとした。加えて他の国々に対しても、同様の行動をとるよう呼びかける。セクター別では、「自動車との運輸部門について、持続可能で脱炭素の移動手段の加速とゼロエミッション車の拡大にコミットする」とし、2020年代を通じてグローバルベースでの道路輸送の脱炭素化を増大させるとした。電気自動車(EV)等、特定の技術に限定した表現は盛り込まなかった。

 

 鉄鋼、セメント、化学、石油精製等の炭素集約型産業の脱炭素化のために、「G7産業脱炭素アジェンダ(G7 Industrial Decarbonisation Agenda)」を立ち上げ、技術支援、政策デザイン、金融等で協力していくとした。住宅・建設分野では、2030年に向けて生活回りの省エネ化等を倍化させる官民連携の「Super-Efficient Equipment and Appliance Deployment (SEAD)」 イニシアティブを歓迎する。

 

 グローバルベースでのグリーンファイナンス市場の拡大は、民間資金の誘導を促し、政府のネットゼロ目標政策を補強すると位置付けた。金融機関等の金融判断に際して、気候課題を考慮するグローバル金融システムの必要性を強調。同市場の拡大のために、TCFDのフレームワークに沿った義務的な気候情報開示を進めることを支持するとした。

 

 また生物多様性保全やエコシステムの回復を金融面から支援するための「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)」の設立を歓迎するとともに、費用対効果の高い排出削減を進めるため、カーボン市場とカーボンプライシングの有効性を強調した。

 

https://www.g7uk.org/wp-content/uploads/2021/06/Carbis-Bay-G7-Summit-Communique-PDF-430KB-25-pages-5.pdf