大成建設、既存建築物を改修で「ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」化を「グリーンリニューアル」として展開へ。省エネ、創エネ技術を駆使(RIEF)
2021-08-17 18:10:08
大成建設は17日、既存建築物を改修工事でゼロ・エネルギー・ビル化(ZEB化)する「リニューアルZEB」事業の推進を打ち出した。住宅を含む建築物からのCO2排出量は全体の約3分の1にも相当し、特に既存建築物の改善が課題とされる。同社では自社開発のZEB化技術や施工技術を駆使して、既存建築物のZEB化ビジネスを促進する。モデル事業として自社の3物件の「リニューアルZEB」を実践する。
(写真は、モデル改修を実施する大成建設の関西支社ビル)
建設物からのCO2排出量は、建設段階から使用、解体に至るライフサイクルを通じて、エネルギーを多大に使うほか、CO2排出量も多い。新設のビルの場合、グリーンビル化が進み、省エネ化が推進されているが、すでに建設されている既存建築物の環境負荷が課題となっている。
同社は、2014年にZEB実証棟の建設・運用を始め、2021年までの全ての計測年度(2020年はリニューアルで除外)で建物単体での年間エネルギー収支ゼロを達成するなど、新築・既存建築物におけるZEB化技術の蓄積・向上を積み重ねてきた。
こうした技術を活用して、既存建築物を建て替えずに、改修工事によってZEB化する「リニューアルZEB」をビジネスとして展開する。改修方式の場合、建物を従来通りに使用しながらリニューアルする必要があるほか、建物ごとの特性を考慮した省エネ設備機器の導入や太陽光発電パネルなどの創エネルギー設備の設置等の工夫が求められる。
また建て替え方式だと、膨大な建築廃棄物を生み出すが、改修の場合はそうした環境負荷は最小化できるメリットもある。同社は「リニューアルZEB」のメリットをわかり易く示すため、自社物件の関西支店ビル、横浜支店ビル、大成ユーレック川越工場でモデル事業を行う。
モデル事業では、省エネ設備・技術として、熱負荷低減ガラス・断熱材、高効率設備機器、採光・自然換気などの汎用技術の導入と、独自技術として、自社開発の省エネルギー自動環境制御システム「T-Zone Saver」、自然採光ブラインド「T-Light Blind」などを投入する。創エネ設備では、太陽光発電のほか、自社開発の「ガラス一体型発電システム『T-Green Multi Solar』」などを導入する。
同社では、既築建物の省エネ化・創エネ化を目指す企業等を対象に、「リニューアルZEB」を提供する取り組みサービスを「グリーンリニューアル」と命名して、展開する。