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「カリフォルニアの煙、欧州の空に」。米カリフォルニア州の大規模森林火災の煙が、大西洋を渡り欧州にまで届いていることが衛星観測で分かった。この夏の北半球の異常気象を象徴(RIEF)

2021-08-23 22:13:06

Atlantic001キャプチャ

 

 気候変動による猛暑と異常乾燥の影響で森林火災が長引く米カリフォルニア州等で燃え上がった火災の煙が、大西洋を越えて欧州にまで届いていることが衛星の観測で分かった。距離にして約8000km。地球一周の5分の1分の距離を煙が流れたことになる。「カリフォルニアの煙」は、スペイン、ポルトガル、英仏などの空にも届いている。

 

 (写真は、衛星写真で見た北米大陸から欧州大陸への煙の流れ)

 

 EUの大気観測衛星コペルニクスの観測でわかった。米国ではカリフォルニア州をはじめ12の州で100件近い火災が同時的に発生している。それらから立ち昇る煙は、北米大陸を横断して東海岸のニューヨーク等の上空を覆うだけでなく、大西洋を渡って、欧州の空にまで大量の煙が届いているという。煙には一酸化炭素(CO)も含まれている。

 

 米国の森林火災の煙が届く欧州でも、スペインやイタリア、ギリシャ、トルコ等で例年にない勢いで森林火災が続いている。最近になって南フランスでも発生している。また、カナダやシベリア等でも大規模な森林火災が起きている。

 

立ち昇る森林火災からの煙
立ち昇る森林火災からの煙

 

 米国で最も火災が激しいカリフォルニア州北部で発生した「カルドア・ファイア」では、火災によって破壊された建物の数は320軒以上にのぼり、さらに火災の広がりで1万3000軒の住宅が脅威にさらされている。同火災は現在、全米で燃えている火災の中で最大。カリフォルニア州の歴史上でも2番目の大きさという。同火災による焼失面積は22日午前の時点で約29万ha。東京都全体の面積を3割分上回る。

 

 同州森林保護防火局による22日午前の情報では、8日前に同州エルドラド郡で発生した森林火災による焼失面積は約3万9700haにまで拡大した。当局によれば、火の勢いが強く、鎮火率は0%。少なくとも今月末までに完全な消火はできない見通しという。火災は21日に吹いた風の影響で東部へと燃え広がっている。

 

 全米省庁合同火災センター(NIFC)によると、カルドア・ファイアは、現在、全米12州で発生している94の大規模な森林火災の一つでしかない。鎮火率は37%。出火から39日が経過している。米西部は前例のない干ばつに見舞われており、焼失面積は合計で約97万ha以上となっている。

 

  大規模な森林火災の鎮火のため、合計で2万人以上の消防士が出動して消火に当たっている。だが、気候変動の影響によって加速化されている大気の乾燥、熱波、高温等が続いているため、困難な状況が続いている。

 

 森林火災の煙を、特に新型コロナウイルスに感染している人が吸い込むと汚染物質で肺を痛めるため、コロナの症状が悪化する懸念も出ている。

https://www.independent.co.uk/climate-change/news/north-america-wildfire-smoke-europe-b1906802.html