HOME8.温暖化・気候変動 |2020年の世界のCO2濃度は過去最高の413.2ppm。世界気象機関(WMO)が公表。コロナ禍で排出量は5.6%減るも、大気中濃度にはほとんど影響せず。5年連続の400ppm台(RIEF) |

2020年の世界のCO2濃度は過去最高の413.2ppm。世界気象機関(WMO)が公表。コロナ禍で排出量は5.6%減るも、大気中濃度にはほとんど影響せず。5年連続の400ppm台(RIEF)

2021-10-26 13:20:35

WMO001キャプチャ

 

 世界気象機関(WMO)は25日、世界の温室効果ガス(GHG)のCO2の2020年の平均濃度が413.2ppmと過去最高水準を更新し、産業革命前から149%増の水準に達したと発表した。20年は新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞で、グローバルなCO2排出量は前年比5.6%減少したが、大気中の濃度は伸び率がわずかに下がっただけで、過去10年間の平均伸び率を上回った。

 

 20年のCO2濃度は、前年に比べて2.5ppmの増加だった。今年に入ってからもCO2濃度の上昇は続いており、7月にはハワイのマウナ・コア観測所で416.96ppm(前年は414.62ppm)、オーストラリア・タスマニアのケープ・グリムで412.1ppm(同410.3ppm)をそれぞれ観測している。

 

WMO002キャプチャ

 

 CO2以外の温暖化ガスの一つであるメタンは、産業革命前から262%増、一酸化窒素(N2O)は123%増等といずれも増加基調は変わっていない。WMOは「コロナの影響は新規の排出量に一時的な低下をもたらしたが、大気中のGHGの増大ペースにほとんど影響を与えていない」と指摘している。

 

 人間の経済活動等で排出されるたCO2のほぼ半分は海洋や森林等に吸収され、残りの半分は大気中に長期間残留する。1990年から2020年にかけて、長期影響を及ぼすGHGは約47%増加しており、そのうち長期寿命のCO2が80%を占めるという。

 

 WMO事務局長のペテリ・ターラス氏は「現在のGHG濃度の上昇ペースが続くと、今世紀末にはパリ協定の『1.5℃』『2.0℃』目標をはるかに上回る気温上昇に見舞われるだろう」と指摘している。

 

 特にGHGの大半を占めるCO2排出量は、2015年に400ppm台に乗せてから、5年で413ppmを超える水準になっている点について、同氏は「データ上の化学式が意味すること以上に、地球の将来や、子どもたち、孫たちの未来の日常生活や幸せに大きなマイナスの影響を与えることになる」と警告している。

https://public.wmo.int/en/media/press-release/greenhouse-gas-bulletin-another-year-another-record