HOME8.温暖化・気候変動 |COP26 : 最終決議を採択し、COP閉幕。石炭火力「段階的縮小」、化石燃料補助金「廃止」。されど、グテレス国連事務総長は改定NDCsでは「今世紀末には2℃以上」と懸念表明(RIEF) |

COP26 : 最終決議を採択し、COP閉幕。石炭火力「段階的縮小」、化石燃料補助金「廃止」。されど、グテレス国連事務総長は改定NDCsでは「今世紀末には2℃以上」と懸念表明(RIEF)

2021-11-15 01:42:24

COP26001キャプチャ

 

  英グラスゴーでの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は13日(日本時間14日朝)、産業革命前からの世界の気温上昇を「1.5℃」以内に抑える「努力を追求する」ことを確認した。また石炭火力発電所を「段階的に縮減」し、化石燃料補助金を「廃止する」等の合意文書をまとめて閉幕した。閉幕に際してアントニオ・グテレス国連事務総長は「採択された決議は『妥協』である。集団的な政治意志は、いくつかの深刻な矛盾に打ち勝つには不十分だった」と認めた。

 

 COP26は会期を延長し、再三の政治交渉を重ねた結果、「Decision -/CP.26 Glasgow Climate Pact」を公表した。グテレス事務総長はその内容を「妥協であり、不十分」と認めた。「合意文書は、今日の世界中での利害関係、条件、矛盾、そして政治意志の状況等を反映している」と、苦闘のとりまとめだったことを明かした。そのうえで、成果は「重要なステップを踏んだが、不幸にも、集団的政治意志は不十分だった」と総括した。

Gteressキャプチャ

 同氏は、「地球は脅威にさらされており、われわれは『気候カタストロフィー』のドアをノックし続けている(入ろうとしている)。危機モードに切り替えるべき時であり、さもなくば、ネットゼロを達成するわれわれのチャンス自体が、ゼロになってしまう」と危機感を露わにした。

 そのうえで、決議案取りまとめで最後まで焦点となった論点について、「化石燃料補助金を終了しなければならず、石炭は廃止し、カーボンに価格付けをする必要がある」と述べ、合意した決議よりも踏み込んだ取り組みの必要性を指摘した。

 先進国が途上国に対して温暖化対策を支援するために約束をしてきた年間1000億㌦の資金供給については、これまで7割程度しか供給されず、「約束」は守られて来なかった。この点で途上国側は先進国の「真剣度」に疑問と不満を示してきた。

 同氏は先進国側が長く支援不足を続けてきた点に懸念を表明、「われわれは、もう一つの『気候危機』に直面している。それは(途上国が先進国に対して抱く)『不信の風潮』が世界を覆っている点だ」と警告を発した。「気候行動は信頼を再建し、信頼を回復することに資する」とした。

 この点で、最終決議で「2025年まで、1000億㌦の完全供給」を確認したことを評価した。同氏は、「我々は(長年)この約束を達成できてこなかったが、今回、進歩を幾分、積み上げることができた」とした。

 こうした指摘に加えて、同氏は、森林伐採の停止へのコミットメント、メタン排出の急速な削減、ネットゼロに向けた民間ファイナンスの導入等でのいくつかの合意を評価した。その一方で、各国が改定した「国が決める削減貢献(NDCs)」の不十分さを改めて強調した。

 「科学が我々に示しているのは、今後10年間に、急速かつ深く、さらに持続的に、排出削減に取り組むことを最優先課題とすべき、ということだ。特に2030年までに世界全体の排出量を45%削減(2010年比)するには、改定NDCsがすべて実践されたとしても、今後10年間の排出量は依然、増加し 、その勢いは今世紀末には、2℃を十分に上回ることは明瞭だ」と懸念を示した。

 「1.5℃目標」を口にする一方で、実際の削減行動では依然、「2.0℃」レベルを上回る決意しか表明できない各国の「弱い」政治意志に失望感を示した。ただ、世界最大の温室効果ガス排出国である中国と、2位の米国が共同声明で「2020年代での排出削減するための行動を加速させる公約」をしたことを評価した。「次の10年」にどう行動するかが、最大の課題なのだ。

 グテレス氏は「COP27は今まさに始まった」と、さらなる交渉による深化を目指す表現で、スピーチを締めくくった。

https://unfccc.int/news/secretary-general-s-statement-on-the-conclusion-of-the-un-climate-change-conference-cop26

https://unfccc.int/sites/default/files/resource/cop26_auv_2f_cover_decision.pdf