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2020年度の日本の温室効果ガス排出量、前年度比5.1%減。リーマン危機後以来の下げ幅。新型コロナウイルス感染拡大の影響大きく。環境省発表(RIEF)

2021-12-10 11:37:38

ghg2020キャプチャ

 

 環境省は10日、2020年度の温室効果ガス排出量(速報値)を発表した。総排出量は前年度(19年度)比5.1%減の11億4900万㌧で、7年連続の減少となった。2030年度に13年度比46%削減とする国際公約の基準年比では18.4%減で、まだ4割分しか満たしていない。20年度の減少は新型コロナウイルス感染拡大による景気停滞の影響が大きい。

 

 京都議定書の基準年である1990年度比では10%減にとどまる。20年度の5.1%の下げ幅はリーマンショックの影響で下がった2009年度(6%減)以来の大きさだった。21年度は景気回復策等によって排出量が増えるとみられている。このため、30年度46%削減の政府見通しの達成は容易ではないといえる。

 

 部門別の排出量を温室効果ガスの大層を占めるCO2でみると、発電所等のエネルギー転換部門は40.4%と最も多い。これに続いて産業部門が24.1%だが、非エネルギー起源の「工場プロセス及び製品の使用」を加えると28.2%。自動車等の運輸部門は17.0%、家庭部門5.3%、廃棄物3.0%等となっている。

 

 前年度比でみると、産業部門は9.8%減、運輸部門10.6%減と、コロナによる経済活動の停滞を映して大幅減少となった。業務その他部門の5.3%減に対して、家庭部門は4.6%増で、コロナ禍で家庭等でのリモートワーク等が増えた影響とみられる。エネルギー転換部門は2.8%減にとどまり、再エネ転換が十分に進んでいないことを示している。

 

 温室効果ガス別でみると、大層を占めるCO2排出量は5.8%減。コロナ禍で世界全体が約7%減少したことと比べると、日本の下げ幅は小さい。メタン、一酸化二窒素等はいずれも微減だが、代替フロンのハイドロフルオロカーボン類等の4ガスは4.2%増と、規制の不十分さが排出量に現れている。

 

 CO2排出量の4割を占める電力部門では、総発電量に占める再エネ比率は前年度の18.1%から20年度は19.8%へと高まった。原子力発電は6.2%から3.9%に下がった。

https://www.env.go.jp/press/110272.html