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「人力発電」普及に力、自転車型で開発取り組む 茨城県那珂市、「311」(茨城新聞)

2012-06-23 05:26:27

イベント「ガヤガヤ★カミスガ」に出展された人力発電の試作機=JR水郡線上菅谷駅前通り


イベント「ガヤガヤ★カミスガ」に出展された人力発電の試作機=JR水郡線上菅谷駅前通り


超小型発電の可能性を追求している茨城県那珂市後台の一般社団法人「311」(中川一位理事長)が自転車型の人力発電システムの開発に取り組んでいる。中古の自転車やスチール缶を使って原価を安く抑えているのが特徴。10月にも量産を開始、「家庭の使用電力量の5%でも補えれば節電効果はある」(中川理事長)と、一般家庭や企業、行政などへの普及を図っていく。発電の仕組みは、自転車の後輪の泥除けに当たる部分に電磁鋼板、タイヤのスポークに当たる部分に磁石をそれぞれ配置。自転車をこぐことで、磁石が電磁鋼板のそばを通過し、その際に電流が生み出される。自転車で発電機を回すタイプはこれまでにもあったが、このタイプはペダルが重くなる難があった。311のシステムではペダルにかかる負荷が小さく、軽くこげるという。

自転車は「捨てられるものを再利用すればいろいろな意味で役に立つ」(中川理事長)と、中古品を直して使用。電磁鋼板は鉄板にニクロム線を巻き付けて作るが、この鉄板にコーヒーや炭酸飲料のスチール缶を平らに延ばして切ったものを活用、原価を抑えることに成功している。

発売は10月ごろを予定。中川理事長は「身近に発電できるとなれば、皆やろうとなるのではないか」と語り、一般家庭への普及を目指すほか、企業が福利厚生で設置するフィットネスバイクへの代用や、行政の節電対策としての活用などを想定している。

試作機は12ボルト、17ワットの出力だが、将来的にはテレビ2台分を動かせる出力100ワットを目指している。このシステムは水田の用水路に据え付けた水車を利用した小水力発電や風力発電への応用も可能。311は海外展開も視野に入れる。

311は東日本大震災による停電や、東京電力福島第1原発事故などを受け、今年3月に中川理事長が中心になって設立された。中川理事長は「被災地との認識が薄い茨城から、電力の地産地消、自給自足へ動き出すことに意義がある」と強調。大規模発電による大量消費のスタイルから、身近な超小型発電への転換を訴えている。

311は、意義に賛同する企業など一般会員(入会金5万円、年会費1口10万円)と個人会員(同5千円、同1万円)を募集中。電磁鋼板に使うスチール缶も集めている。缶はさびておらず、洗ってあることが条件。問い合わせは事務局TEL029(350)6116

 

http://ibarakinews.jp/news/news.php?f_jun=13401945572371