HOME8.温暖化・気候変動 |タイ、インドネシア等の東南アジア各国で、雨季に襲来した熱帯低気圧の影響による水害・土砂崩れ等で死者300人以上。気候変動の影響で降雨量が増大、都市の排水能力を大幅に上回る(各紙) |

タイ、インドネシア等の東南アジア各国で、雨季に襲来した熱帯低気圧の影響による水害・土砂崩れ等で死者300人以上。気候変動の影響で降雨量が増大、都市の排水能力を大幅に上回る(各紙)

2025-11-30 01:45:40

東南アジア各地の都市の排水能力を大幅に上回る豪雨が集中

写真は、降り続く豪雨の影響で町全体が水没したタイの状況=BBC放送から引用)

 

 インドネシアやタイ、マレーシアなどの東南アジア諸国で、今週発生した熱帯低気圧の襲来と、雨季の豪雨が重なって起きたことで、現時点で300人以上の死者が出ているという。東南アジアの雨季の降雨は毎年のことだが、気候変動の進展が毎年強まる影響で、熱帯低気圧の威力が増大し、降雨量が各国の水害対策の排水能力を大きく上回って降り続けたとみられる。日本の各地でも顕著になっている「ゲリラ豪雨」が、アジア各国でも同時発生しているようだ。洪水・水害対策の適応事業を、早急に整備する必要性が浮き彫りになっている。

 

 各紙の報道によると、インドネシアでは、スマトラ島の北スマトラ州で少なくとも19人が死亡し、さらに洪水で緩くなった地盤の土砂崩れに巻き込まれる形で、7人以上が行方不明になっているという。今週発生した水害によって各地の街や村などが水没し、多くの地域で村落等が孤立状態になっている。

 

 インドネシア当局によると、現時点での死者数は少なくとも174人で、行方不明者も80人近くに上るとされている。死者174人の内訳は、被害が最も深刻な北スマトラ州で116人、アチェ州で35人、西スマトラ州で23人。これら3州の行方不明者は70人以上。国家防災庁のスハリヤント長官は、救助隊が孤立した地域に到達するにつれて、死者数が増える可能性があると懸念を表明している。

 

 同機関によると、一連の洪水は熱帯低気圧「セニャール」に伴う24日からの豪雨が主な原因だ。豪雨の影響で、各地で道路の寸断や水没が起きている。

 

街中が水浸し。タイの都市(BBCニュースから引用)
街中が水浸し。タイの都市(BBCニュースから引用)

 

 タイも、南部の10県を中心に、豪雨が一週間続けて降り続け、各地で記録的な洪水が起きている。マレーシアとの国境に近いビジネス拠点のハジャイ市では、1日の降雨量が335mmという300年ぶりの記録的な降雨量を観測した。この豪雨と洪水によって、少なくとも 33人が死亡した。タイ軍当局は救援活動を支援するため空母や救援物資を搭載した14隻の船団等を投入して、孤立した住民たちの救助に当たっている。だが、多くの住民たちは各地で孤立したままで、犠牲者の増大は必至の状況という。

 

 タイ軍は、動員した空母に搭乗した医療チームが、水害の犠牲となった住民たちを治療する活動を展開するとしている。空母を「浮かぶ病院」として活用する考えだ。また住民たちに食糧を提供するため、1日3000食を提供できる野外炊事チームも派遣する準備を進めているとしている。しかし、いずれ救助チームも、まだ被災者には届いていないようだ。

 

 タイ全土で洪水の影響を受けた住民の数は、200万人以上とみられるが、現時点で避難所に収容された住民はわずか1万3000人とされる。大多数の住民は水に浸かった住宅の屋根の上や高台に避難したままで、十分な支援を受けられていない状態にある。タイ南部の病院では、遺体安置所の収容能力を超えたため、遺体を保管するために冷蔵トラックを投入したとの情報も伝えられている。

 

 タイ政府は、記録的な豪雨が襲ったハジャイ市を災害地域に指定し、緊急の救援資金の拠出を決めた。同市が位置するソンクラー県の知事は、住民避難のために、救命ボートのほか、高床式トラック、ジェットスキー等の移動手段を投入した。しかし、水位は依然上昇しており、危険な状況が続いている。

 

 ロイター電によると、ボランティア救助団体の「マッチマ救助センター(Matchima Rescue Center)」には、過去3日間で救助要請の電話が数千件も殺到したという。同センターのFacebookページには、多くの市民が救助を求めるメッセージが書き込まれている。「今は本当に大変な状況です。水が2階まで達していて、そこには子供や高齢者、病人、障害者がいる!!!」「今は1秒1秒が重要。拡散をお願いします。私の(携帯電話)のバッテリーは40%に減った」等の声が拡散されている。

 

 気候変動で威力を増した豪雨や熱帯低気圧は、各国の国境とは関係なく、近隣諸国も巻き込んで、各地を水浸しにしている。ベトナムでは死者数が1週間で98人に達し、マレーシアでも1万9000以上が自宅等の住居からの避難を余儀なくされている。このため、マレーシア政府は北部国境地域に126カ所の避難所が設置したとしている。

 濁った水に沈んだ街の一角に、車高の半分ほどが水に沈んだ車が多数放置されている様子を、上空から撮影した写真。電信柱や街路樹、建物などもみえるが、いずれも水につかっている

 

 ベトナムでもこの一週間にわたる豪雨により洪水と土砂崩れが発生し、少なくとも98人が死亡、12人が行方不明となっている。特に山岳地帯のダクラク省では、土砂崩れによって深刻な被害が出ており、11月16日以降、60人以上の死者が出ている。同国全体では18万6000戸の住宅が損壊し、300万頭以上の家畜が豪雨によって流されたとしている。当局の推計では各地での被害額が数億ポンド(数百億円)に上ると推定している。

 

 

https://www.bbc.com/news/articles/ckg97wx144jo

https://www.bbc.com/news/articles/cwywl8g31g7o