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南極氷床下に膨大なメタン、放出なら地球温暖化加速(Reuters)

2012-08-30 17:38:55

南極の衛星写真(撮影日時不明)(米航空宇宙局提供
【ロンドン29日ロイター時事】英国、オランダ、米国、それにカナダの大学の研究チームが29日に科学誌「ネイチャー」で発表した論文によると、温室効果ガスのメタンが南極氷床の下で何百万年もの間作られてきた可能性があり、もし氷床の融解でメタンが大気中に放出されることになれば、地球温暖化が加速する恐れがあるという。

南極の衛星写真(撮影日時不明)(米航空宇宙局提供




 英ブリストル、オランダ・ユトレヒト、米カリフォルニア、加アルバータの各大学から成る研究チームは、モデルや計算によって、南極の堆積盆地に蓄積されているメタン量のシミュレーションを行った。氷床下の堆積盆地には微生物が存在していて、それが大量に堆積した有機炭素をメタンに変えている可能性があるという。

 メタンは、存在するとすれば、氷床の下に閉じ込められている公算が非常に大きい。しかし、世界的な気温上昇によって氷床が融解すれば、メタンが大気中に放出されて地球温暖化がさらに加速する恐れがある。研究チームは「不確実な面は大きいが、南極氷床は世界のメタンハイドレート埋蔵量のうち、これまで無視されていた部分かもしれない」と述べた。

 メタンは最長15年大気中にとどまる。大気中のメタン濃度は1998年以降安定していたが、ここ数年間上昇している。

 メタンは通常、大量のメタンを含む氷状のメタンハイドレートとして、海底で堆積物の中に閉じ込められていて、普段は安定した状態にある。温度が上がると、メタンハイドレートは溶け、メタンが海底から放出されるが、大半は海水に溶ける。しかし、閉じ込められていたメタンが海面を抜けて大気に加われば、地球温暖化が加速する可能性がある。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012083000394