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地球温暖化対策で世界のGDPは2.6兆ドル増加も 世界銀行の報告(Reuters)

2014-06-25 14:24:18

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ondankaimg_08cad51c53c693b052a71bf89878dbb776114[ロンドン 24日 ロイター] – 世界銀行が24日公表した報告によれば、エネルギー効率の改善、廃棄物管理強化、公共輸送の利用促進など政策を各国が進めれば、2020年には世界のGDPを2兆6000億ドル(2.2%)押し上げる効果がある。

報告書は世界銀行とクライメート・ワークス財団が共同で作成した。ブラジル、中国、インド、メキシコ、米国、EUのCO2排出国が、輸送、工業、廃棄物処理、調理用燃料などで大胆な排出抑制策をとった場合の経済的便益を分析した。

CO2排出が相対的に少ない交通手段の利用を促進し、工場・ビルや各種機器のエネルギー消費を効率化すれば、GDPの合計は2030年まで年1兆8000億円(1.5%)押し上げる効果があるという。資金や技術革新投資が増えれば、2030年には2兆6000億円(2.2%)のGDP押し上げ効果があり得るとしている。

さらに温暖化対策の効果として大気・水質汚染に関連した疾病による早期死亡者数も2030年には少なくとも94000人減少する他、食糧生産効率の改善、自動車20億台分に相当する約85億立方トンの温暖化ガス削減にもつながるという。

例えば、もし中国で低CO2排出型の調理ストーブが7000万世帯に普及すれば、約100万人の人々が大気汚染による病死を免れ、その経済的便益110億ドルに上る。

ジム・ヨン・キム世界銀行総裁はコンファレンスコールで取材に答えて「世界のどの政府も意思さえあればこれらの政策を実行できる。頭を使う必要はない、必要なのはやる気だ」と述べ、さらに「こうした政策を実行しないための言い訳の1つ1つが正に言い訳にすぎないことを示したレポートだ」と付け加えた。

この3月には、疾病、水不足、海面上昇などの地球温暖化の悪影響で経済活動が年率で0.2%から2%低下するとした報告が科学者で構成する国連委員会から出たばかりだった。

しかし気温上昇によるグリーンランド氷河の後退や珊瑚礁の死滅などすでに起こり始めている災厄がもたらす経済的影響を考慮していないことから、報告の数字は実態より控えめになっていると見る国も少なくない。

国連の国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は、9月23日ニューヨークで温暖化サミットを開催し、各国首脳、企業トップ、市民代表に温暖化対策の加速を呼びかけることにしている。具体的には、2015年末までに拘束力ある温暖化ガス排出制限に各国が合意できるよう交渉の加速を促す。

しかし交渉の遅々として進んでいない。6月初旬に開かれた国連気候変動ボン会議では合意に向けて暫定的に歩みだすとするのがやっとだった。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPKBN0EZ0JE20140624