HOME |資源減少と気候変動、人類の健康の最大の脅威に=専門家(Reuters) |

資源減少と気候変動、人類の健康の最大の脅威に=専門家(Reuters)

2011-10-19 12:59:15

木を伐採する様子(11年7月27日、チェコ共和国・スマバ国立公園)
【ロンドン17日ロイター時事】ロンドンで開かれた世界の気候と健康に関連する会合に参加した専門家らは17日、食料、水、森林といった地球の天然資源が驚くほどのスピードで減少しており、その結果、飢餓、社会的争乱、それに種の絶滅といった事態を引き起こしていると警告した。

 

木を伐採する様子(11年7月27日、チェコ共和国・スマバ国立公園)


専門家らは、食料の収量の変化によって空腹状態が広がると栄養失調につながり、水不足は衛生状態の悪化を招くと述べた。また環境汚染によって免疫システムが弱くなるほか、水や土地をめぐる争いを理由とした居住地移転や社会的無秩序が感染症を拡散させるとも指摘した。

 オーストラリア国立大学のトニー・マクマイケル教授(公衆衛生学)は、2050年までにはサハラ砂漠以南のアフリカだけで死者数がさらに7000万人増える恐れがあると語った。

 気候変動によって蚊の活動範囲が広がってマラリアなどの病気の感染率が上がり、2025年から50年にかけてジンバブエなどの国が影響を受けるとみられている。また、地球温暖化によって洪水が増え、病気を運ぶ水がこれまで到達しなかった場所にまでやって来るため、中国では新たに2100万人が住血吸虫症にかかる危険にさらされる恐れがあるという。

 マクマイケル教授は「気候変動は地球の生命維持メカニズムを累進的に弱体化させるだろう」と予想。「健康被害は、巻き添えを食うといった単に付随的なものではない。むしろ中心的なもので、気候変動によるその他全ての影響がもたらすデニュマン(最終的な結末、終局)を形作るだろう」と警告した。

 世界の人口は今月70億人を超え、2050年までに100億人を超えるとみられている。このため、地球の天然資源にさらに大きな圧力がかかることになる。専門家らは気候変動による影響が問題を大きくするだけでなく、生態系、動物、それに人類をも危険にさらすだろうと指摘した。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011101800290