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月末からのCOP21 予定通り開催へ。各国間交渉以外のサイドイベントなどの多くは中止の見通し。ただ、追加テロの脅威は消えない(RIEF)

2015-11-17 02:13:57

cop21francepmキャプチャ

 フランスのマニュエル・ヴァルス首相は、先週末にパリで起きた同時テロ事件の影響が残るものの、今月30日からの国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)は予定通り開催する、と語った。

 

 ヴァルス首相は、「パリはCOP21の期間、世界の首都となるだろう」と語り、テロの脅威に屈せず、地球の将来を世界のリーダーたちと語り、新たな温暖化対策の国際的枠組みの構築で合意する姿勢を強調した。

 

 COP21会議の冒頭の開幕日には、オバマ米大統領、習近平中国国家主席、プーチンロシア大統領、モディ・インド首相ら、120人以上の世界の政治リーダーが出席する予定だ。

 

 首相は「(リーダーたちは)誰一人、会議の延期を問うたりしていない。それどころか逆に、彼ら全員がパリに来たいと望んでいる。さもなくば我々はテロリストに屈することになる」と毅然とした姿勢を示した。

 

 ただ、言葉での決意でテロの脅威が遠のくわけではない。このため開催する会議は、各国政府による国際的温暖化枠組みの交渉に絞り、例年、各国代表や、NGO、企業団体等がサイドイベントとして開く多くの会議やイベント等は見送られる見通しという。


 また会議の前日の29日に気候変動対策への関心を喚起するためにパリ市内で市民団体等がデモ行進する「気候グローバル行進(Global March for Climate)」の実施の是非については、 別途、検討中としている。デモ行進がテロリストの標的になるリスクを排除できるか不明という。


  ヴァルス首相は「われわれはパリ市内を行進する人々を危険な状態にするわけにはいかない。また、我々の警備陣も、もっとも重要な会議の警護に集中しなければならない」と語った。デモ行進等によって警備体制が拡散すると、テロリストの思うつぼになるリスクがあり、国際会議どころではなくなってしまう。

 

 また、ウィーンで開いたシリア問題の会議に出席したファビウス仏外相も、「COPは進行する」と強調した。「警備は強化される。だが、COP21は気候変動との闘いであり、無条件で重要な会議だ。計画通りに開かれるのが自然だ」と述べた。

 

 フランス国内では、サルコジ前大統領の関係者が、COP21の開催に懸念を抱き、サルコジ前大統領がオランド現大統領に会議の延期を進言するとの報道が流れていた。しかし、内外では「テロに屈するな」の大合唱が大勢を占めているようだ。http://rief-jp.org/ct12/56194

 

 地球温暖化問題は、政治思想や宗教、民族を超えて、等しくすべての人々に影響が及ぶ案件である。したがって、シリアの紛争も、報復の空爆も、テロリストの無差別攻撃も、いったんタナ上げして、地球の未来を全員で語る機会を持てればいいのだが、人類相互の憎悪心はそうした冷静さを上回ってしまうようだ。

 

 温暖化交渉自体も、今回の事件で、多くの国々が、より真剣な取り組みに向かうのか、あるいは各国とも腰が引けた形となってしまうのか、見通しの見えない状況に陥っているといえる。

http://www.cop21.gouv.fr/en/manuel-valls-paris-will-be-the-capital-of-the-world-during-cop21/