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アル・ゴア元大統領の長女 カリーナ・ゴアさん。ガスパイプライン建設工事による地球温暖化への影響に抗議する活動で、逮捕される(RIEF)

2016-07-02 23:45:12

Goreキャプチャ

 

 カエルの子はカエル、というが、「ゴアの子はやはりゴア」だった。「不都合の真実」などで有名なアル・ゴア元副大統領の長女のカタリーナ・ゴア女史が、米ボストン近郊で、地球環境に負の影響を与えるとしてガス・パイプライン建設に反対する抗議行動に参加、工事を妨害する行動に出て、逮捕された。

 

 カリーナさんは、ゴア元副大統領の4人の子供のうちの長女で、3人の子持ちの42歳。ゴア氏が大統領選挙に出馬した2000年には、民主党の青年組織の代表として父親を大統領に推薦するなど、積極的に支援したことで知られる。現在は、作家、ジャーナリスト、法律家、非営利団体の運営者など、多彩な肩書を持つ。

 

 Gore2キャプチャ

 

 カリーナさんは、「Center for Earth Ethic」という非営利環境団体の主要運営者。この日は「Resist the Pipeline」という環境団体の抗議行動に加わり、ボストン近郊のWest Roxburyでパイプライン建設工事を妨害する活動を行った。

http://www.resistthepipeline.org/

 

 同建設工事は、Spectra Energyが進めているもので、ペンシルベニア州で採掘したシェールガスを、東部の都市部を伝って124マイル(約200km)にわたるパイプラインを建設する計画だ。カリーナさんは同工事の中止を呼びかける記事も、ニューヨークタイムズ紙に寄稿している。

 

 彼女らの抗議行動は基本的に無抵抗主義。工事現場に仲間とともにやってきて、パイプライン敷設用の溝に入り込んでダイイン(死んだふりをして地面などに横たわる抗議行動)を展開、工事を一時中断させた。こうした活動の展開で、市民にパイプライン建設の危険性をアピールするのが目的だ。

 

 カリーナさんは逮捕された後、「気候変動を抑制するための法律や政策が、あまりにも歩みが遅いために、われわれは逮捕された」と、民主党系のニュースサイトにコメントを載せている。

 

 環境団体がパイプライン工事用の溝の中でダイインを決行したのは、単に工事妨害のためだけではないという。5月にパキスタンで発生した熱波事件を世に知らしめる意味もあった。

 

 同熱波では、1300人以上が死亡、死体を埋葬する作業のために、長い溝を掘って集団埋葬せざるを得なかった。5月の熱波での大きな犠牲は、真夏のさらなる被害を予想させるものだが、各国政府はパリ協定の批准も掛け声だけで、十分には果たしていない。

 

 つまり、地球温暖化対策の遅れによって、すでに各地で大きな被害が発生しているのに、各国は十分な対策をとらない「不都合な状態」が続いているのだ。カリーナさんたちは、自分たちが法律違反で逮捕されることで、政府による「不作為の違法状態」も、逆に世に訴える狙いでもあったようだ。

 

  父親のアル・ゴア氏は学生自体の1970年代から地球温暖化問題をライフワークとして取り組んでおり、2006年に地球温暖化に関するドキュメンタリー映画『不都合な真実』 (An Inconvenient Truth)』に出演。翌年に、国連のIPCCとともにノーベル平和賞を受賞した。地球環境問題に対して責任ある行動をとる企業に投資する「Generation Investment Management」を設立するなど、幅広く活動を続けている。

http://www.centerforearthethics.org/

http://www.democracynow.org/2016/6/30/headlines/23_activists_arrested_protesting_spectra_pipeline_in_west_roxbury_ma