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前国連気候変動枠組条約事務局長のクリスティアーナ・フィゲレス氏が国連事務局長レースに参戦(RIEF)

2016-07-09 20:50:32

F5geres4キャプチャ

 

 今年末で退任する潘基文国連事務総長の後任候補選びが始まっているが、12人目の「最後の立候補者」として、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長を務めたコスタリカのクリスティアーナ・フィゲレス氏が、名乗りをあげた。

 

 フィゲレス氏は、昨年12月の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)を取りまとめ、パリ協定の「生みの親」の一人になった。困難な温暖化対策交渉に長期にわたって忍耐強く取り組み、先進国、途上国双方の信頼を得て、歴史的な合意を仕上げた手腕は高く評価されている。

 

 今月6日にUNFCCCの事務局長の座を任期満了で退任、その後の去就が注目されていた。元々は中米コスタリカの出身の外交官で、コスタリカの大統領を3度務めたホセ・フィゲレス・フェレーラ氏の娘として知られる。

 

 母親のカレン・オルセン・ベック氏はイスラエル大使を務め、父親はコスタリカの民主化・教育国家化の基礎を築いた。兄のホセ・フィゲレス・オルセン氏も大統領経験者で、まさに政治家一家の出身。小柄だがエネルギッシュで、まだ59歳。豊富な外交経験と知識、知見に加え、幅広い人的ネットワークを持つ。

 

 フィゲレス氏を推薦したコスタリカのLuis Guillermo Solis大統領は、「国連、世界が今、求められているのは、混乱した問題を解きほぐし、人々の声を聴き、アドバイスをし、持てる人と持てない人の格差を乗り越え、つなぐことのできる人だ。フィゲレラ氏はまさに、その役割にふさわしい人だ」と、語っている。

 

 事務局長選考は今月末に行われる予定。フィゲレス氏の立候補はまさに最後の登場でもある。同氏を含め12人が立候補するという大混戦。しかも、元首相や国連の要職を務めた実力者らがそろう。

 

 男性では、元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏(66歳)は前国連難民高等弁務官の経験を持ち、女性ではブルガリアのイリナ・ボコヴァ(63歳)ユネスコ事務総長と、ヘレン・クラーク(66歳)ニュージーランド前首相で国連開発計画(UNDP)総裁の二人が有力視されている。フィゲレス氏はそこに割って入る形だ。

 

 このほか、モンテネグロのイゴル・ルクシッチ副首相兼外相、スロベニアのダニーロ・トゥルク前大統領 、クロアチアのベスナ・プシッチ第一副首相兼外務・欧州問題担当相、モルドバのナタリア・ゲルマン副首相兼外務・欧州統合相 、セルビアのブーク・イェレミッチ元外相、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国のスルジャン・ケリム元外相などが立候補している。

 

 これまでの国連事務総長の選出では、米ロなどの主要国で構成する安全保障理事会が候補を一人に絞り、この候補者が国連総会に提案されていた。しかし、安保理でのいわゆる「密室の協議」で決まる選出プロセスの閉鎖性に批判が集まり、今回はオープンなプロセスと、HP上で候補者の豊富の紹介と質疑の過程も公開されるなどの試みを行っている。

 

http://www.un.org/pga/70/sg/