HOME |オーストラリアのモリソン首相、パリ協定からの離脱は否定するも、国連の「緑の気候基金(GCF)」への資金拠出拒否を宣言。トランプ政権に次ぐ動きで、途上国の温暖化対策支援継続に難題(RIEF) |

オーストラリアのモリソン首相、パリ協定からの離脱は否定するも、国連の「緑の気候基金(GCF)」への資金拠出拒否を宣言。トランプ政権に次ぐ動きで、途上国の温暖化対策支援継続に難題(RIEF)

2018-10-11 13:32:53

Morrisonキャプチャ
 

 オーストラリアのスコット・モリソン首相は、国連の「緑の気候基金(Green Climate Fund : GCF)」への資金拠出を拒否する姿勢を打ち出した。GCFは途上国の温暖対策を支援するために設立された国連機関だが、GCFへの資金拠出を否定したのはトランプ大統領に次ぐ。

 

 モリソン氏は、同国の保守派が要求するパリ協定からの離脱については否定した。このほど出演したラジオ局2GBの番組で述べた。同国の温室効果ガス排出量は2018年度は前年度比1.3%増と伸びており、パリ協定で約束した国別目標の達成が早くも危ぶまれている。

 

 モリソン氏はパリ協定に対しても懐疑的との見方があり、One Nation などの極右政党からはその点を踏まえて、協定離脱を求める圧力が出ている。しかし、今回、トランプ政権に続く協定離脱に踏み切ることについては「離脱するメリットが少ない」として否定する一方で、GCFへの資金拠出については明確に否定した。

 

 GCFは2010年に開いた国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)で設立が決まった。事務局は韓国仁川市ソンドに置かれている。国連は緑の気候基金を通じて、2020年までに先進国から途上国へ官民合わせて毎年1000億㌦の資金を支援する目標の中心機関と位置付けられている。

 

 現在、GCFには日本などから約100億㌦の資金が拠出されている。オーストラリアも労働党政権時代に2億㌦を拠出を約束している。だが、米国がトランプ政権になって拠出金の一部の負担を拒否したことから、その分のシェアをどうするか、今後の負担割合をどう見直すか、が課題となっており、先進国と途上国との対立が表面化している。

 

 GCFは17日にバーレーンで理事会を開催する予定。その中で、協議事項として、途上国の温暖化対策プロジェクトに対する16億㌦の資金提案が予定されている。そうした中でのモリソン氏の資金拠出凍結の姿勢表明は、途上国側の反発をさらに高めるとみられる。

 

 最貧国(LGD)グループの議長を務めるエチオピアのGebru Jember Endalew氏は、「オーストラリアなどの豊かな国からの資金拠出は、グローバルな協力体制を築き上げるうえでのカギとなる。LDGを含め、途上国各国は、温暖化対策のため野心的な計画を立て、実行しようとしている。しかし、十分な資金が供給されないと、実行できない。GCFはそうした温暖化対策資金の供給源として機能させるべきだ」と指摘している。

https://www.australia.gov.au/