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EU首脳会議、2050年の温室効果ガス排出量「ネットゼロ目標」での合意、見送り。ポーランド等中東欧諸国が反対(RIEF)

2019-06-21 12:15:41

EU111キャプチャ

 

 20日から開いたEUの欧州首脳会議で、2050年の温室効果ガス排出量をネットゼロとする目標設定案が議論されたが、ポーランドなど中東欧3カ国とエストニアの反対で、先送りされた。しかし、EU加盟28カ国中、24カ国が賛成、今後、改めて目標設定の調整を続ける見通し。

 

 ブリュッセルで開いた首脳会議で、仏独を中心に、すでに国別で2050年カーボンニュートラルを目標に据えている国々が、EU全体の目標設定を目指した。欧州ではこれまで毎年のように熱波、洪水、干害等の温暖化の影響とみられる気候変動が発生しており、各国はパリ協定の目標達成のため、従来より厳しい目標設定を目指した。

 

 現在のEUの目標は2030年に40%削減(1990年比)で、2050年目標は設定されていない。そこで主要国は今回の首脳会議で「2050年排出ゼロ」の目標設定の道筋を示そうとした。首脳会議では、EU28カ国中、最低、24カ国が「50年排出ゼロ」に同意した。http://rief-jp.org/ct8/90815

 

 しかし、ポーランド、チェコ、ハンガリーの中東欧諸国とエストニアは、再生可能エネルギーへのシフトによるコスト負担を指摘、賛同しなかった。このため、首脳会議の宣言文の注記に「加盟国の最大多数の国にとって、カーボンニュートラルは2050年までに達成されるべきである」との文言を付記するにとどまった。

 

 チェコのアンドレイ・バビシュ首相は、「なぜ31年後のことを今決めねばならないのか」と語った。消息筋によると、同首相は首脳会議で最大の温室効果ガス排出国の中国の排出量が増大している中で、EUの削減が意味をなすのか、との疑問を呈し、メルケル独首相と議論になったという。ポーランドもエネルギー転換に伴う化石燃料関連産業の雇用問題を重視している。

 3カ国のうちハンガリーは、事前の交渉では、2050年目標に妥協するとみられていた。だが、中東欧3カ国の足並みをそろえる選択をしたようだ。ただ、これらの国の反対姿勢は、結局のところ、EUから構造改革のための支援資金をどれだけ獲得できるかという駆け引きとの見方が多い。首脳会議でのカーボンニュートラル目標の合意は先送りされたが、大半の加盟国が合意を表明していることから、「EUにとっての問題は、カーボンニュートラル目標の是非ではなく、いつ合意するかという時期の問題」(消息筋)とみられている。

 首脳会議は11月にも任期を迎えるEU機関のトップ人事も協議した。EUの執行機関である欧州委員会の委員長のほか、EU大統領、欧州中央銀行(ECB)総裁等が焦点。いずれもEUの政策決定の軸になるポストだけに各国の利害調整がカギとなっている。

https://www.theguardian.com/environment/2019/jun/20/eu-leaders-to-spar-over-zero-carbon-pledge-for-2050