HOME |温暖化の影響で高潮増大のイタリア・ベネチア。ベネト州議会が気候変動対策強化の修正予算案を否決後、議会が洪水に見舞われ、審議中断。与野党議員全員が議場から脱出(各紙) |

温暖化の影響で高潮増大のイタリア・ベネチア。ベネト州議会が気候変動対策強化の修正予算案を否決後、議会が洪水に見舞われ、審議中断。与野党議員全員が議場から脱出(各紙)

2019-11-18 12:11:44

Venis1キャプチャ

 

 CNNの報道によると、イタリアの水の都ベネチアを流れる大運河に面したベネト州議会の議事堂が、史上初めて浸水被害に見舞われた。浸水する直前、州議会は気候変動対策を盛り込んだ予算の改正案を否決した、という。「温暖化の進行」を軽視する人間の愚かさを示す一幕となった。

 

 (写真は、水浸しになった議会の委員会。机上には審議資料が放置されている。議員たちは、慌てて脱出したようだ。FaceBookより)

 

ベネチアでは先週、温暖化の影響で増大した高潮の影響を受けて、過去50年あまりで最悪の洪水が随所で発生している。べネト州の議事堂はフェッロ・フィニ宮殿内にある。現地時間の12日、同議会は2020年度予算案の審議を行っていたが、午後10時ごろから議事堂内に浸水が始まった。

 

委員会の足下はすっかり水溜りに
委員会会場の足下は水溜りに

 

 環境委員会の副委員長を務める野党民主党の議員はフェイスブックへの投稿で、「皮肉なことに、気候変動対策を求める我々の修正案を与党連合が否決した2分後に、議事堂が洪水に見舞われた」と伝えている。

 

   提出された気候対策の修正案には、再生可能資源への予算拠出や、ディーゼルバスの入れ替え、汚染の原因となる暖房設備の廃棄、プラスチックの影響抑制などが盛り込まれていたという。

 

 州議会の広報担当者は、予算案の審議中に議事堂が浸水被害に見舞われたことを認めたが、洪水時点で具体的にどの内容について審議していたのかは明らかにしなかった。中断した残りの審議は、14、15の両日に、トレビーゾに場所を移して審議を行った。

 

 気候変動対策修正案を多数決で否決した与党側は、温暖化対策に十分な予算を講じていないと批判する野党に対して、「気候変動の決定的要因である大気汚染やスモッグ対策のために、我々は過去3年で9億6500万ユーロ(約1000億円)を拠出した予算案を可決している」などと強調した。だが与野党議員そろって水浸しとなった。

 

ベニスの観光名所サンマルコ広場は水没した
ベネチアの観光名所サンマルコ広場は水没した

 

ベネチアのブルニャーロ市長は、異常な高潮は気候変動によって引き起こされたとの見方を示していた。ベネチアに観光に行く人は、長靴必携のようだ。

https://www.cnn.co.jp/world/35145468.html