HOME8.温暖化・気候変動 |パリ協定の国別削減公約(NDCs)の評価ランキング、日本は下から2番目の「極めて不十分な国」に評価。中国、韓国と「石炭3悪連合」と位置づけ。気候研究者機関のCATが報告(RIEF) |

パリ協定の国別削減公約(NDCs)の評価ランキング、日本は下から2番目の「極めて不十分な国」に評価。中国、韓国と「石炭3悪連合」と位置づけ。気候研究者機関のCATが報告(RIEF)

2019-12-13 16:42:15

Climateaction1キャプチャ

 

 気候変動分野の研究者で組織する「Climate Action Tracker(CAT:本部ベルリン)」は、マドリードで開催中の国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の会場で、パリ協定で各国が約束した国別削減貢献(NDCs)の評価結果を公表した。その結果、現状の対策では、今世紀末に気温上昇は2.8℃にまで上昇するとして、対策の強化を求めた。さらに30余の対象国を6段階で評価、日本は下から2番目の「極めて不十分」と評価された。

 

 (図表は、国別のNDCs公約の評価ランキング)

 

 CATは報告書で、「世界は、パリ協定の目標と整合した形の石炭火力発電の廃止の方向には向かっていない。2015年~19年の間に、石炭火力発電能力はネットで63GW増加している」と指摘。ただ石炭火力発電所の数は減っており、建設中のものも同期間に75%減少したとしている。

 

 全体的に、再エネ発電の価格が石炭より実質的に安くなっているにもかかわらず、多くの国が依然、石炭依存に固執しているとし、その代表例として、日本、中国、韓国の東アジア3カ国を名指ししている。政治面では日中、日韓とも、摩擦が絶えないが、石炭依存では歩調を合わせていることを見抜かれている。

 

CAT22キャプチャ

 

 一方で、天然ガス発電は17年から18年にかけてグローバルベースで5%増加し、この間の化石燃料事業からのCO2排出量の3分の2を占めたと指摘した。天然ガスからのCO2排出量をパリ協定と整合させるには、CCSを伴わない限り、2030年までにピークアウトさせ、2040年までに半減させて、2010年のレベルまでに戻す必要がある、と指摘している。石炭問題がガス問題に代わってきたということだ。

 

 パリ協定での約束と政策評価では、35カ国を対象とした。その結果、「ロール・モデル」となる最高評価に相当する国はゼロ。第二番目に高い評価の「1.5℃と整合」する国は、ガンビアとモロッコの2カ国、「2℃に整合」は、インドやコスタリカなど6カ国。ここまでが一応の合格圏内。

 

4番目の「不十分」と評価されたのは、2050年ネットゼロ目標を打ち出したばかりのEUのほか、オーストラリア、カナダ、ブラジル、英国など11カ国・地域。日本はそれより低く、下から2番目の「極めて不十分」のランクで、日本のほか、中国、韓国、ドイツなど10カ国が入った。

 

 最悪の「非常に不十分」のランクは、米国、ロシア、サウジアラビア等6カ国。