HOME8.温暖化・気候変動 |オバマ前米大統領、温暖化対策をめぐり、パリ協定から離脱を決めたトランプ大統領と、トランプ氏をはじめとする「動かない政治家」に、反発を強める若者たちの両方に「アドバイス」(RIEF) |

オバマ前米大統領、温暖化対策をめぐり、パリ協定から離脱を決めたトランプ大統領と、トランプ氏をはじめとする「動かない政治家」に、反発を強める若者たちの両方に「アドバイス」(RIEF)

2019-12-16 14:38:21

Obama1キャプチャ

 オバマ前米大統領は、トランプ大統領がパリ協定から離脱を公式に決めたことに触れ、「同協定は、直ちに問題を解決するための『演習』ではない。重要なことは、中国やその他の国々を巻き込んで、一緒に問題の解決に取り組むことだ」と指摘。一方で、若者たちが各国政府の動きの鈍さに反発を強めている点についても、「人々は、現状がすべて変わることに躊躇する。そうした人々に対しては、変化は彼らが大きなリスクをとることではないと感じとれるような教育が必要」とアドバイスした。

 (写真は、シンガポールで14日開いたイベントに出席したオバマ前米大統領㊧)

オバマ氏はシンガポールで開かれたイベントに出席し、スピーチした。気候変動の激化が世界中で観測される中、実効性のある温暖化対策をめぐる議論が高まっている。マドリードで開いた国連気候変動枠組み条約(COP25)も、世界中から関心を集めたが具体的な対策の強化についての合意は先送りされた。

マレーシアでコミュニティサービスイベントを見学するオバマ前大統領、㊧はミシェル夫人
マレーシアでコミュニティサービスイベントを見学するオバマ前大統領、㊧はミシェル夫人

 こうした状況に、スウェーデンの環境活動家、グレタ・ツゥーンベリさんをはじめとする世界の若者たちは、フラストレーションを高め、抗議の声にも悲壮感が漂う。若者たちの影響力の広がりへの懸念からか、トランプ大統領はツィッターで、グレタさんに盛んに皮肉な発言を送っている。

 オバマ氏の発言はこうした「変わらない大人」の代表としてのトランプ氏と、グレタさんたち若者の『対立』を暗に仲裁した格好でもある。後任大統領でもあるトランプ氏に対して、パリ協定の本来の役割を諭し、各国が共同で問題解決をする行動の必要性を指摘した。

 一方のグレタさんら若者たちの不満については、若者たちの熱情と理想を目指す姿勢を賞賛したうえで、「若者はしばしば、望む変化が100%達成されないと、フラストレーションを起こしたり、燃え尽きたりしがちだ。しかし、社会の変化を進めるには、人々に対して、『変化は大きなリスクではない』ことをしっかりと教えなければならない」と述べた。

 「Yes We Can!」を合言葉に、米国の改革を進めた大統領だけに、人々が「We Can」とわかるような説明や話し合いが必要と言いたかったようだ。「対立」ではなく、「対話」だ。

 実際には、グレタさんが始めた「温暖化対策を求める金曜日の登校拒否(School Strike)」運動は、「School Strike for Parents」「School Strike for teachers」などの形で各地で広がりを見せている。日本でも「若者の運動」から、「親の運動」「先生の運動」「大人の運動」に広がってもらいたい。「Yes We Can!」~

https://www.straitstimes.com/politics/former-us-president-obama-speaks-on-fake-news-climate-change-and-youth-activism-in-dialogue