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今が夏のオーストラリア。熱波の影響で全国平均の最高気温が過去最高の40℃を突破。一部の都市では45.5℃を記録。干害と山火事で「国が燃えている」(RIEF)

2019-12-19 12:18:33

Australia123キャプチャ

 

 南半球で現在、夏のオーストラリアは、例年にない熱波に襲われている。17日には、国全体の平均気温が40℃を突破、過去最高の40.9℃を記録した。各地で熱波による干害や森林火災が広がっている南オーストラリア州のセドゥナでは45.5℃に達した。西オーストラリア州のパースでは12月としては初めて、3日連続で気温が40℃を超えた。同国の気象庁(Bom)は、今週後半にはさらにもっと強烈な熱波が襲う、との警告を発している。

 

 これまでの同国の平均最高気温は2013年11月7日に記録された40.3℃。17日の記録は、これを0.6℃上回った。Bomの19日の観測では、南部のアデレードで41.9℃まで上昇、さらに44℃になる見込みであるほか、東南部のシドニーやキャンベラでも日中最高気温が40~41℃になる予測になっている。

 

 この異常高温の継続で、これまでも大規模な山火事に見舞われているニューサウスウェールズ州では、事態がさらに悪化している。同州の消防当局によると、州内で起きている山火事は100件に上り、このうち54件が今も延焼中。同州では州内全域を対象に、21日まで火気厳禁の警戒指示が出ている。http://rief-jp.org/ct12/97040?ctid=70

 

山火事は燃え続けている
山火事は燃え続けている

 

 同州ではこれまでに住宅760棟以上が全焼、加えて300棟近くに被害が出ている。死者は4人。森林に住む野生動物の被害も甚大で、コアラ数百匹が死んだとみられている。

 

  異常高温の原因は、オーストラリア西部のインド洋の熱帯領域の海面の温度が、西側では例年以上に高く、東側は逆に例年以上に低いことから、「ダイポールモード現象(Indiran Ocean Dipole:IOD)が発生しているためだ。東側の海水温が低く抑えられると、海面からの蒸発が抑えられて降水量が減少する。IODはエルニーニョ現象と同様、世界の気候に大きな影響を与える。

 

ダイポールモード現象が今年は大きい
ダイポールモード現象が今年は大きい

 

 観測によると、今年のIODの温度差は、過去60年でもっとも強力だという。インド洋の西部地域にあたるアフリカ地域では、平均以上の降雨に直面し、地域によっては洪水被害が出ている。逆に東側のオーストラリアや東南アジアでは、異常高温や干害が広がっているわけだ。

 

 Bomは、IODによる季節変動に加えて、温暖化による気温上昇が熱波を加速している側面が大きいとみている。同国全体の気温は1910年以来、平均で1℃以上高くなっており、1950年以降に熱波の発生が増大している。過去にもっとも気温が高かった10の年のうち、9つは2005年以降に発生している。今年の平均気温も、長期平均の27.5℃より、少なくとも1.3℃は高くなると予測されている。

 

 熱波とその影響の干害、山火事の長期化で、最大都市シドニー等では煙害に包まれているほか、長期的にみても、同市に水を供給するダムは、水量が減少して2022年までに干上がる可能性も指摘されている。モリソン首相は、トランプ米大統領に並ぶ温暖化懐疑論者として知られ、その政権の温暖化対策の「手抜き」ぶりに、国民から不満が高まっている。

 

http://www.bom.gov.au/

https://www.cnn.co.jp/world/35147067.html

https://www.bbc.com/news/world-australia-50817963