HOME10.電力・エネルギー |河野防衛相。「気候変動問題は、自衛隊にとっても他人事ではない」。来年度から防衛省・自衛隊の電力調達で、再エネ比率大幅引き上げへ。将来は「再エネ100%」も。設備への太陽光発電等導入も検討(RIEF) |

河野防衛相。「気候変動問題は、自衛隊にとっても他人事ではない」。来年度から防衛省・自衛隊の電力調達で、再エネ比率大幅引き上げへ。将来は「再エネ100%」も。設備への太陽光発電等導入も検討(RIEF)

2019-12-24 18:40:12

jieitai1キャプチャ

 

  河野太郎防衛大臣は23日、「自衛隊の全国各地にある施設の運用に際して、地球温暖化、気候変動への取り組みをしっかりと行う必要がある」として、2020年度から電力調達で、再生可能エネルギー比率の高い電力を調達する目指す考えを示した。「気候変動の問題は、自衛隊にとっても他人事ではない」と指摘。「可能な限り、再エネ100%を目指す」との方針も明らかにした。

 

  河野大臣は「気候変動に起因する災害が、今後とも続いていくであろうということを考えれば、当然に自衛隊としてもこの気候変動に関して様々対応していく必要がある」と述べ、大臣自身の発案による温暖化対策であることを強調した。

 

温暖化の影響を受けた災害派遣活動も毎年、増大
温暖化の影響を受けた災害派遣活動も毎年、増大

 

  防衛省はすでに13日付で、「防衛省・自衛隊における電力の調達に係る防衛大臣の指示」文書を出している。それによると、「電力調達の見直しの方向性」として、①防衛省・自衛隊が調達する電力に占める再エネ比率の大幅な引き上げ、可能な限り再エネ100%を目指す②自衛隊施設周辺の地域に根ざした電力事業者等の活用③競争性の確保④低廉な価格の実現⑤電力供給の安定性の確保⑥全国の防衛省・自衛隊の施設で見直しを実施、としている。

 

 実施に際しては、「調達コストを上げず、電力の安定供給の確保」を条件にするとしている。河野氏は「最終的には再エネは国産エネルギーなので、防衛省・自衛隊としても、輸入エネルギーに頼らない体制が取れれば強靭性を確保することにもつながる」と、「国防上の観点」からも再エネの重要性をとらえていることを明らかにした。

 

 また現在は、電力調達の見直しを率先するが、装備品の燃料等の「グリーン化」についての質問に対して、「当然国内でバイオ燃料の調達ができるようになれば、これも強靭性、抗たん性の向上につながると思う。日本国内で航空燃料のバイオ化を目指している企業等とも連携を取って検討していきたい」と語った。太陽光パネルを自衛隊の施設に敷設する可能性についても「予算がつけば様々なことを考えていきたい」と述べた。

 

将来は戦車の燃料もバイオ燃料で。弾も「グリーン砲弾(?)」に・・
将来は戦車の燃料もバイオ燃料で。弾も「グリーン砲弾(?)」に・・

 他の国の軍隊でも環境配慮の取り組みは広がっている。特に、米国では陸軍、海軍、海兵隊等、それぞれで環境配慮への方針を定めて、取り組みを強化しているとされる。

 ただ、米軍は世界に展開しているだけに、その環境負荷(Bootprint)自体が膨大だ。米サイトQuartzによると、米軍全体のCO2排出量は、国でいえば上から47番目に相当し、ペルーとポルトガルの間に位置する。使用燃料も、2017年のデータで陸軍が日量27万バレルの石油を使い、CO2排出量2万5000㌧以上を排出している。燃料費は空軍が年間49億㌦、海軍28億㌦、陸軍9億4700万㌦、海兵隊3600万㌦と、大量に化石燃料を消費している。

 河野大臣の指示は、温暖化対策はどの役所、どの分野でも必要ということを大臣自ら宣言したことで、評価できる。同時に、効果的な温暖化対策の模範となるため、自衛隊の使用電力量と、再エネへの転換電力量等の「グリーン化電力」情報を開示してもらいたい。

 

https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2019/1223a.html