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温暖化の加速による海洋の温度上昇、水深2000mでも進行。2019年の海洋温度は1995年より0.15℃上昇。過去最大。台風等の激甚化を加速(RIEF)

2020-02-23 14:59:24

seaondo1キャプチャ

 

 気象庁の観測によると、水深2000mまでの海水の温度が地球温暖化の影響で上昇していることがわかった。2019年の海水の温度は、1995年に比べると平均0.15℃上昇しており、海に蓄えられた熱エネルギー(貯熱量)は過去最大になっている、としている。気象庁は「地球温暖化の進行を明確に示している」と説明している。

 

 地球温暖化によって増加した熱エネルギーの約90%は海洋に取り込まれる。その熱エネルギー(海洋の貯熱量)の変動は温暖化の傾向を把握する上で重要なデータとなる。このため気象庁はこれまでも、海洋気象観測船やアルゴフロート等で観測し、内外の観測データを元に海洋の貯熱量の見積もってきた。

気象庁の海洋観測船
気象庁の海洋観測船

 ただ、2000年頃以前は深さ700m以上の観測データが限定的であり、700mより深い部分の貯熱量の変動を正確に把握できないという課題があった。今回の調査では、貯熱量を精度良く推定できる新たな手法を導入し、監視範囲を水深2000mまでに広げて精度を高めた解析を実施した。


 その結果、①深さ700mから2000mまでのより深い層でも貯熱量は増加している②1990年代半ば以降、貯熱量の増加が加速③2019年時点の貯熱量は監視期間では過去最大だったーーことがわかった。海洋貯熱量は1955年から2019年の間に約43×1022J(ジュール)増加した。

 

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 海水温の上昇は、台風等のエネルギー増大につながるとされる。温暖化の進行で、海洋のより深いところでも温度の上昇が起きており、海洋全体での貯熱量の増大が、自然災害の増大につながる台風・ハリケーン・サイクロンの激甚化を、地球の各地で引き起こしていると推察される。

 

http://www.jma.go.jp/jma/press/2002/20a/20200220_OHC.pdf