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韓国の韓国電力技術と大宇造船海洋、海上フロート式の洋上原発開発で覚書。今春稼働したロシアの洋上原発に次ぐ実用化目指す。文在寅政権は脱原発のはずだったが・・・(RIEF)

2020-10-09 22:54:49

KEPCO001キャプチャ

 

 韓国の国営電力会社、電力公社(KEPCO)の子会社で発電所のエンジニアリングと建設を担当する韓国電力技術(KEPCO E&C)は、海上フロート式の洋上原子力発電所の技術開発で、造船大手の大宇造船海洋と長期協力する覚書を締結した。洋上原発は、ロシアが昨年、世界最初の洋上原発を開発、シベリアに曳航し、今春から操業している。

 

 (上図は、韓国製洋上原発の完成予想図)

 

 KEPCO E&Cは、遠隔地域に対する熱電供給や海水の脱塩、再生可能エネルギーによるハイブリッド発電システムの開発などに利用可能な小型モジュール炉(SMR)の「BANDI-60」を2016年から開発している。今回の覚書では、同社の原子力設計技術および建設技術と、大宇造船海洋の船舶製造のノウハウを融合することで、ロシアに次ぐ洋上原発開発の共同プロジェクトを進めていくとしている。

 

 PWRの「BANDI-60」は熱出力60MW、発電能力200MW。ロシアの洋上原発の「Akademik Lomonosov(アカデミック・ロモノソフ)」号の原発 KLT-40S 原子炉2基(発電能力70MW)、熱出力300MWに比べると、一回り小さい。http://rief-jp.org/ct13/91221?ctid=76

 

覚書を締結した両社の代表
覚書を締結した両社の代表

 

 原子炉の安全性と操作性を向上させるため、設計では減速材中に可溶性ホウ素を使用せず(SBF)、原子炉容器内に制御棒駆動装置(CEDM)を設置する。原子炉容器上部に炉心計装(ICI)を搭載するほか、残留熱の除去や格納容器の冷却等で各種の受動的安全システムを備えるものとする。

 

 KEPCO E&Cは、大宇造船海運との覚書締結で、両社技術の相乗効果が期待できるとして、洋上原発開発に意欲を高めている。大宇造船海洋側も、「KEPC E&Cは国内外の原発で設計と建設を経験しており、安定性と信頼性をワンランク高めた製品を顧客に提供することができる」としている。

 

 文在寅政権は、脱原発を政策に掲げて当選した。だが、洋上原発は「別もの」ということかもしれない。世界の原発ビジネスは目下、安全対策等が比較的に容易なSMRにシフトしている。そのSMRを搭載し、船舶で移動可能なシステムとすることで、途上国等への売り込みを目指すとみられる。http://rief-jp.org/ct4/70704

 

 先行したロシアの洋上原発はロシアの原子力企業ロスアトムが展開している。中国の国営企業である中国核工業集団(CNNC)と、同じく国営の中国広核集団(CGN)もともに、ACP100SとACPR50Sを元に改良した洋上用のSMRの開発を進めているとされる。

https://www.world-nuclear-news.org/Articles/Kepco-E-C-teams-up-with-shipbuilder-for-floating-r