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ミャンマー・ティラワ経済特区>立ち退き問題への日本の対応は?(3)(メコン・ウォッチ)

2013-03-11 22:07:30

ミャンマーのテインセイン大統領
ミャンマーのテインセイン大統領
ミャンマーのテインセイン大統領

日本が官民を挙げて進めているビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業ですが、地元住民が大規模な移転に対する抗議の声を上げています。以下では、2月8日にティラワSEZ予定地内のタンリン郡アルワンソ村の住民が大統領に提出した抗議文(原文ビルマ語)をご紹介します。同抗議文のなかで住民は、自分たちが土地所有法に基づく正当な土地権者であることを主張し、当局による14日以内の立ち退き通知を拒否する旨を表明しています。



ティラワSEZ開発事業に伴い、立ち退きを迫られている住民によるテインセイン大統領、および、2人の副大統領宛てのレター


 

2013年2月8日

題目:ティラワ経済特別区に関するThanlyin Township長官による通知を拒否する


参照:下ビルマ都市・村土地法 第21項(1)による2013年1月31日付け通知LB 5


上記の件につき、ヤンゴン管区、Thanlyin Township、Alwan Sot村の村民は、2013年1月31日付けでThanlyin Township長官により出されたティラワ経済特別区に関する土地法第21項(1)による通知を拒否します。


1.「許可なしでティラワ経済特別区内(に居住)」という言い回しを使用していることは受け入れられません。


理由1.土地所有法(2012年)の第31項に従うべきです。というのは、同地がかつて事業地としてみなされたとしても、同事業が実施もされず、完了もしていないことは明白だからです。


理由2.以前、同地は、異なる目的のために利用されるという理由で農民から取り上げられました。しかし、同地はその目的のためには一切使われませんでした。(したがって、)1998年から2012年まで(今季まで)、(同地に)元来暮らしてきた農民は農業を継続してきました。この事実は、税支払の領収書で証明することができます。


理由3.同法では、異なる目的の事業のために利用されることが承認された土地では、承認日から6ヶ月以内に同事業が実施されなくてはならないと明記しています。もし同事業の実施が6ヶ月以内に実現されない場合は、政府は同地を再び、そこで暮らしてきた元来の農民に返却するとされています。(したがって、)これは当地の農民の権利の一つです。


以上、元来暮らしてきた農民は、事業の行なわれていない同地の権利を主張する正当な権利を有しています。(市民権に関する憲法を作成する)立法者が市民権を尊重することはきわめて重要です。


2.国家計画が国家の発展のためのものであるということは、疑いなく、一般に認められることです。しかしながら、同地で登記をし、同国家の一部である当該村人や農民が含まれているのか否かが、一つの(重要な)要素です。


3.土地を耕作できるようにするには、現在の農民を含む、何世代にもわたる勤勉な作業が必要で、農民らは、労働、汗水、そして、資金(つまり、この経済特区の投資の一部)をつぎ込んできました。投資のための経済特区が行なわれる同地では、この種の投資が認識されていないようなので、上記第2段で言及した農民は、個々の投資に対し、どの要素が考慮されるのかを知りたいと思っています。


4.補償という形態は、問題解決の唯一の答えではありません。つまり、土地所有法により、農民の喪失を考慮することが必要です。その要素を考慮するならば、中央土地行政チームのみによって物事が決定されるべきではなく、損失を被る農民が(意思決定に)含まれるべきです。村人や農民は、土地所有法(2012年)に則った法の執行を望み、裁判所の命令なしになされた無法な通知を拒否します。


法律に基づく、上述の理由により、農民は今回の通知を拒否します。


(以下、個々の住民リーダーの署名、および、同レターの写しの発送先を省略。日本への写しの発送先は、外務大臣、経済産業大臣、財務大臣、ミャンマー駐在日本大使、および、国際協力機構(JICA)理事長となっている)


(文責 メコン・ウォッチ)


 http://mekongwatch.org/resource/news/20130311_02.html