京葉、三井住友信託、りそなの3行。陸上養殖のFRDジャパンによる千葉・富津市でのサーモントラウト養殖商業プラント建設に「ブルーサステナビリティローン」を提供（RIEF）
2023-07-24 21:45:59
（写真は、FRBジャパンが現在進めている実証実験プラントでの陸上養殖の模様）
京葉銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行の各行は20日、陸上養殖事業を展開するFRDジャパン（埼玉県さいたま市）が千葉県富津市で建設を目指すサーモントラウト陸上養殖商業プラントの商業プラント事業に対し、ブルーサステナビリティローンの融資契約をとの間で結んだと発表した。融資額は公表されていない。FRDは2027年から年間3500㌧規模のサーモントラウトを生産・販売する計画だ。同時に、第三者割当増資で210億円の調達で合意した。増資引き受けは三井住友信託のほか、三菱UFJ銀行、三井物産等7社。
京葉銀行等が提供するブルーサステナビリティローンは、ローンの資金使途を、特に海洋環境や海洋資源等の保全に貢献するブループロジェクトおよびソーシャルプロジェクトに限定し、資金の追跡管理や融資実行後のレポーティングを通じ、透明性を確保すること等を条件としている。
同ーンの締結に際し、FRDは独自の「ブルーサステナビリティローン・フレームワーク）を策定、同フレームワークについてはローン・マーケット・アソシエーション（LMA）等が策定した「グリーンローン原則」、「ソーシャルローン原則」のほか、国際金融公社（IFC）策定の「ブルーファイナンスガイドライン（Guidelines for Blue Finance）」が定めるブルーアクティビティに、それぞれ適合することを外部機関の格付投資情報センター（R&I）からセカンドオピニオンを取得している。https://www.r-i.co.jp/news_release_suf/2023/07/news_release_suf_20230720_jpn.pdf
FRDが別途実施した第三者割当増資は、三井住友信託等の3機関のほか、エア・ウォーター、STIフードホールディングス、積水化学工、長谷工コーポレーションの各社が引き受ける。
サーモントラウトの陸上養殖事業に取り組むFRDは、2018年から、千葉県木更津市や埼玉県さいたま市で、同事業の実証実験プラントを運営している。同実証実験プラントでは、これまで20世代以上の魚を養殖し、バクテリアを活用した独自の閉鎖循環システムの開発により理想的な水質環境を維持することで、海に依存せずにサーモントラウトが安定生産できることを実証している。
同プラントで生産した魚は、三井物産の出資により、2019年から「おかそだちサーモン」のブランド名で販売している。大消費地の首都圏の千葉、埼玉で養殖することで鮮度の高さも維持できるメリットがある。同社は、これまでの5年間の実証実験プラントの運営で、独自の閉鎖循環システムの改良と、養殖オペレーションの効率化の両面での知見を高めてきたことから、今回、商業プラントに着手することとした。
今回着手する千葉での商業プラントを踏まえて、日本を含むアジア圏を中心に1拠点で生産量年間最大1万㌧規模のサーモン類の陸上養殖プラントを複数展開していくことを目指している。
FRDの閉鎖循環式陸上養殖システムの特徴は、天然海水を一切利用せず、バクテリアを利用した高度濾過技術によって、飼育水を閉鎖循環させながら水質を維持できる。従来の陸上養殖では高コスト要因となっていた取水時の水温調節費用や、魚病の侵入リスクを大幅に減少できるほか、場所を選ばす内陸でも養殖を行えるという。
サーモン類は海水温が高いアジアでは夏季の海面養殖が難しく、養殖サーモン類の大部分がノルウェーやチリ等の寒冷地での海洋養殖からの輸入が主となっている。しかし、陸上養殖での水温コントロール等により、温帯、亜熱帯地域の多いアジア地域でも通年でサーモン類の養殖が可能になることから、同社では消費地近郊にプラントを立地させて、高鮮度な商品を低い輸送コストで流通させて広く展開することを目指している。
陸上養殖事業では、マルハニチロが三菱商事と共同で進めている富山県でのアトランティック・サーモンの養殖事業があり、その資金調達として、わが国で初のブルーボンドを発行した事例がある。同取り組みに対しては、環境金融研究機構（RIEF）の第8回（2022年）サステナブルファイナンス大賞で初のブルーボンド賞に選ばれている。https://rief-jp.org/ct12/132490?ctid=
https://www.keiyobank.co.jp/news/2023/20230720frdjapan.pdf
https://www.resonabank.co.jp/about/newsrelease/detail/20230720_3064.html
https://www.smtb.jp/-/media/tb/about/corporate/release/pdf/230720.pdf
Research Institute for Environmental Finance