HOME |温暖化で世界最北端のグリーンランドの湖に藻が復活(National Geographic) |

温暖化で世界最北端のグリーンランドの湖に藻が復活(National Geographic)

2012-10-19 11:25:19

一度は姿を消した藻が最近になって再発生したカフェクルベン湖。右下は、湖沼に生息する珪藻の1種(資料写真)。
一度は姿を消した藻が最近になって再発生したカフェクルベン湖。右下は、湖沼に生息する珪藻の1種(資料写真)。


グリーンランドの沿岸付近にある世界最北端の湖に生命が戻ってきた。カフェクルベン湖(Kaffeklubben So)では微少な藻類、珪藻類が2000年以上姿を消していたが、最近になって生息が確認された。地球温暖化の影響だという。

気候変動以外には考えられない」と、研究チームの一員でフランス、ブザンソンにあるフランシュ・コンテ大学の古生態学者ビアンカ・ペレン(Bianca Perren)氏は語る。同氏は北極の環境変化を専門に研究している。

 氷河が後退して海岸平野に多数の小さな湖が出現した約3500年前、カフェクルベン湖には珪藻類が繁茂していた。

 しかし、周辺温度が下がるにつれ珪藻類の生息数が減り、約2400年前に湖から姿を消したと同氏は説明する。「1920年頃まで湖は凍結していた」。

 水面はすべて氷に覆われ、かつては湖中に差し込んでいた太陽光は遮断されていた。急激な温度低下も相まって、湖水中に生息していた珪藻類は生き延びることができなかった。

◆気温変動の強力な証拠

 1960~70年頃から、夏の温度上昇(上昇幅は1度未満)に伴って珪藻類の生息数が徐々に増え始め、1980年前後には爆発的に増加。

 いまだ湖の水面は1年を通して厚さ1~2メートルの氷層に覆われるが、気温が平均摂氏1.6度前後上昇する夏は、特に湖岸付近の氷が溶ける。

「グリーンランド北部では数度の違いが決定的な差になる」と、同氏は指摘する。夏に氷が溶けると湖水中に太陽光が届き、生物の増加につながるからだ。

 研究の焦点は、窒素汚染の確認に絞られた。窒素が増加しても藻は繁茂する。しかし、窒素を含め汚染の証拠は挙がらず、珪藻類の増殖は気候変動の影響にほかならなかった。

 ウィスコンシン大学マディソン校の気候研究センター(Center for Climatic Research)所長のジャック・ウィリアムズ(Jack Williams)氏も、気候変動説に同意し、説得力のある論証だと評価する。

 研究チームによると、現在の珪藻類の繁殖状況は最近で最も盛んだと言う。

「グリーンランドでも生物に影響が出ることは予測していた。しかし、これほどとは」と、イェール大学の地球科学者コリン・クック(Colin Cooke)氏は驚いている。

 今回の研究結果は、「Geology」誌オンライン版に9月18日付けで掲載された。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121018002&expand#title