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Amnestyが中国の住宅強制収容の実態報告書:「中国 一歩も退かない~暴力的な立ち退きに直面する住民たち~」(Amnesty)

2012-11-01 16:41:16

Amnesty
中国では、住民が自宅や農地から、法的な保護や基準もないまま、強制的に立ち退かされることが、日常茶飯事となっている。強制立ち退きは、まぎれもない人権侵害である。多くの場合立ち退きは、唐突に力ずくで行われる。ときには死者も出る。暴力を振るわれたり、誘拐されたあげく、生き埋めにされる人もいる。執拗な脅しや嫌がらせが、前触れとなる。立ち退かされる住民に対する補償は少ない。その上、代替の家が提供されることも少なく、あっても粗末だ。
 北京・小紅門の住民にとっては、この強引な立ち退きが日常的になった。2011 年1 月13 日、地元の警官、「城管」(都市管理当局)のメンバーらおよそ100 人が、村に乗り込んできた。彼らは、問答無用で住民を家屋から引きずり出し、残っていた建物を取り壊した。

 2006 年、小紅門の住民おおよそ1 万世帯は、「緑地帯」を作るという名目で、国から土地の収用通知を受けていた。しかし後になって、地区の役人らと居民委員会のメンバーが共謀して、2005 年に開発業者と秘密裏に取引契約を交わしていることがわかった。数ヵ月後、各世帯は移住先の入居手続きを説明した小冊子を受け取った。その時はじめて、移住先は、北京の中心部から4 ~ 5 キロも離れていることを知った。学校や病院、交通機関からは、遠く離れていた。国際法が求める住民への適切な通知も協議もなかった。

 多くの人びとが立ち退き同意書への署名を拒否したが、その報復として嫌がらせを受けた。

人びとは不気味な車に尾行され、警察に拘束され、自宅に押し入られた。住民の和解交渉の要求は、受け付けられなかった。多くの住民はあきらめ、引っ越しを受け入れた。しかし、最後まで抵抗した住民がいた。

 2012 年1 月、集落には呉立紅の自宅だけが残った。彼女は建設機械の騒音の中で、14 歳の息子、夫、義父といっしょに暮していた。政府は嫌がらせを続け、ときには一晩中家屋に投光器で光を当てることもあった。「夜は眠れず、恐怖を感じています。息子も寝られず、勉強にも影響がでています」と彼女は訴えた。

 呉立紅は、「こんな不当なことがありますか。私は自分の尊厳をかけて、最後まで闘います」と、立ち退きに抗議し、闘い続けた。彼女は同年2 月、家族の身の危険を感じて、ついに抵抗を断念した。

 

強制立ち退きをめぐる実態

 家を失った多くの人びとは、小紅門のかつての住民と同じ立場に置かれている。彼らは劣悪な家に住むことを強いられた。それらの家屋は、通勤、通学、病院や公共サービス、公共交通機関の利用には不便な場所にある。
 

立ち退き後の農民は、とりわけ弱い立場に置かれる。農村住民にとっては数少ない命綱である土地を失うことにより、しばしば窮乏生活に追い込まれることになる。司法もほとんど頼りにならない中、やり場のない不満を抑えきれず、我が身に火を放つという過激な抗議手段に訴える人もいる。

 アムネスティ・インターナショナルは、強制立ち退きの実態を告発する報告書「一歩も退かない:中国で暴力的な立ち退きに直面する数千の住民たち」を発表した。報告書を作成するにあたり、丸2 年、中国全土および世界の弁護士、居住権活動家、学者ら多数の人びとに聞き取りをした。また、2009 年1 月から2012 年1 月までに起こった強制立ち退きの40 事例を詳細に調査した。
 その目的は、中国の強制立ち退きをめぐる実態と、立ち退き過程で生まれる暴力の要因を探ることだった。また、国際基準に反する立ち退きの執行で、中央と地方政府、関連当局、関連業者らが取る行動を明らかにする狙いもあった。ここに報告書と政府への提言の要旨を紹介する。

http://www.amnesty.or.jp/library/report/pdf/china_report_20121031.pdf

 

中国政府への提言
 アムネスティ・インターナショナルは中国政府に対し、以下を要請する。
・すべての強制立ち退きを即時中止し、法に基づいてそれらを明確に禁止すること。そして2011 年1 月制定の「国有地内の家屋の収用および補償に関する規則」を履行するなどして、国際法に合致する適切なセーフガードおよび保護策の整備を着実に進めること
・すべての人びとを、強制立ち退き、脅迫、嫌がらせなどから十分守るために、最低限の財産権を保障する具体的かつ効果的な措置を検討し、実施すること
・立ち退きの結果、誰もホームレスとしないこと、そして適当な代替住居を必ず提供すること
・すべての被害者が、訴えに対する独立かつ公平な裁判と、実効的な救済措置を受けられること
・立ち退きの際に暴力を用いて居住者の権利を侵害した国家および民間の業者らを罰し、起訴すること
・上記の主要な改革が実施されるまでは、集団立ち退きを即時に停止すること

http://www.amnesty.or.jp/library/report/pdf/china_report_20121031.pdf