HOME |シャープ、将来に危機感-創業以来初の「事業継続に懸念」表明(WSJ) |

シャープ、将来に危機感-創業以来初の「事業継続に懸念」表明(WSJ)

2012-11-02 15:36:26

sharp_jpg_image_Col3wide
 【東京】シャープは1日、決算発表にあたり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が存在すると述べた。同社創業100年の歴史上初めてで、シャープを含む日本の家電業界を悩ませる根深い問題を改めて浮き彫りにした形だ。

シャープのこの警告は、同社の2012年7-9月期(第2四半期)の決算が2491億円の赤字になった上、通期でも2年連続で過去最高の純損失を計上するとの見通しと併せて出された。損失額は2年で100億ドル(約8000億円)を超えるとみられる。同社は収入以上の資金を使っていると述べ、短期的な資金調達で困難に直面していると指摘した。

 シャープを含む日本の家電メーカーは半導体、薄型テレビ、その他の資本集約的な製品に対する投資に多大なカネを使っている。日本のメーカーは巨費を投じて国内に大規模な製造設備を建設し、韓国のサムスン電子などのアジアのライバルに追い付けるように投資を行った。

 一方、ソニーも同日、7-9月期の決算が赤字になったことを明らかにし、黒字回復を期待していたアナリストを当惑させた。前日にはパナソニックが過去最高の純損失の計上を発表している。

ここ 1日の東京証券取引所では、シャープ株が前日比1.7%、ソニー株が4.1%下落した。パナソニック株は19%安とストップ安で取引を終えた。

ソニーとシャープの純利益の推移(単位:10億円)


シャープは事業継続への懸念はまだ小さいと述べ、同社の監査役はこうした警告を発していないと指摘した。同社はリストラを通じてリスクを排除する計画だという。

 シャープは、投資のブームとその崩壊によって凋落した企業の典型と言える。同社は国内各地に液晶パネルを製造する工場を建設した。自社のテレビ事業や大型液晶パネル納入業者の事業が堅調に伸びると予想していたからだ。しかし、市場の伸びが減速したため、生産能力が過剰になり、損失が膨らんだ。

 シャープの奥田隆司社長は記者会見で、「スピード感に欠けていた」と述べ、「もっと早急に対策を講じていれば状況は違っていたかもしれない」と話した。

 同社は、銀行団による3600億円の短期協調融資など、財務状況を改善する計画があると述べたものの、向こう1年間で直面するいくつかの試練が同社の長期的存続を決定することになろう。

その試練の1つは、来年9月に期限を迎える2000億円の転換社債の償還資金を確保することだ。シャープの現在の手元資金はこの償還に十分でなく、これが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などの企業による同社への資本注入をめぐる交渉の重要度を増す形になっている。鴻海はシャープの株式の一部を取得することで合意しているが、最終的な合意には至っていない。

 シャープは収益改善が最重要課題だと述べている。改善すれば、低迷している株価が上昇する可能性があるからだ。株価上昇は投資家を引き付け、資金を調達するのに役立つ。シャープ株価は年初来75%下落している。

 今年4月に就任した奥田社長は、鴻海による669億円の出資についての交渉が継続していると述べたほか、他の企業との提携も模索していることを明らかにした。共同通信によると、シャープはアップル、インテル、グーグル、マイクロソフト(MS)、それにヒューレット・パッカード(HP)といった米国のハイテク企業にも出資を打診している。鴻海、インテル、グーグル、MS、それにHPはコメントを控えた。アップルの回答は得られていない。

 日本では企業が事業継続への懸念を表明することが珍しくない。東京商工リサーチによると、今年3月までの1年間で45の日本企業が事業継続で予備的な警告を発したが、そのうち経営破たんした企業は1つもないという。

 シャープは8月、世界全体の従業員のうち5000人を削減する計画を明らかにした。これは同社としては1950年以降初めてだ。同社は給与削減や資産売却のほか、投資の縮小にも動いている。7月には、工場の生産能力の過剰を緩和するため、大阪府堺市にある液晶パネル工場の38%にあたる株式を鴻海の郭台銘董事長に売却した。

 シャープは最悪期を脱したと指摘し、在庫減少を受け、1-3月期の営業収益が黒字回復するとの見通しを示した。