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福島第1原発事故で検察当局が 東電社員から事情聴取 (各紙)  立件にはハードル

2012-11-06 11:56:25

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各紙の報道によると、東京電力福島第1原発事故をめぐり、検察当局は、東電が設置した社内事故調査委員会(東電事故調)の調査に参加した同社の複数の社員を対象に事情聴取した模様である。東電幹部らは業務上過失致死傷などの罪で告訴・告発されている。検察当局はこうした告発を受けて事情聴取したとみられる。事情聴取を踏まえて立件するかどうかは、事故発生を事前に予期できたかという「予見可能性」濃霧が論点となる。

 報道によると、検察当局の事情聴取は10月以降、複数者に対して複数回行われた模様。当局は、聴取において、昨年3月11日の地震・津波対策に関する東電側の事前の認識や、事故後の報告書の作成過程などを中心に説明を求めたとされる。東電事故調の報告書では事故原因について、「津波想定に甘さがあり、備えが不十分だった」と認めている。しかし、東電の事故責任については触れていない。

 原発事故の責任については、市民団体や福島県の被災者らが、業務上過失致死傷罪などで東電幹部や政府関係者の告訴・告発状を相次いで提出していた。検察当局は、事件の取り扱いを東京、福島の両地検に集約して捜査を進めている。


 

  市民らからの告訴・告発は、東電が地震や津波の対策を怠り、事故当日についても原子炉冷却などの適切な対応を取らなかったことから、地域住民に多大な影響を与えた、と指摘している。具体的な告訴対象としては、勝俣恒久前会長ら当時の東電幹部のほか、原子力安全委員会の班目春樹委員長ら政府関係者についても、名指ししている。

 東電幹部らの刑事責任の有無については、①事故を事前に予見できたか②事前の対策で事故を回避できる可能性はあったか③事故と避難者の死亡に因果関係はあるか-などが論点となる。検察当局の東電関係者からの事情聴取は、このうち①②に関しての検証のためとみられる。公害犯罪処罰法違反などの適用の可能性もある。