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年間1000億円も電気料金へ不当に上乗せか 再生可能エネルギー賦課金を”水増し?(東洋経済)経産省が指導の疑い

2013-12-28 22:51:05

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solarkumamotoyh20140524Kumamoto_PVmodule_460px太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及を加速するため、2012年7月に導入された固定価格買取制度(フィードインタリフ、通称FIT)。再エネで発電された電気を、その地域の電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度だ。電力会社が買い取る費用は、「賦課金」という形で電気料金に上乗せして集められており、今はまだコストの高い再生エネの導入を電気利用者全体(家計や企業)で支えている形だ。

賦課金の総額は2012年度が1302億円で、2013年度が3133億円。これが利用者から電力使用量に応じて回収され、電力会社の買い取り資金として交付されている。しかし、この賦課金は買い取り費用の実態と比べ、過大に徴収されている疑いがある。しかも、その差額は13年度の1年間だけで数百億円から1000億円超に上ると見られ、現状を放置すればこの先も年々大きく膨らんでいく可能性が高い。

 

回避可能費用を過小に見積もり?


 

問題は、賦課金の計算方法にある。毎年の賦課金は、「再エネで発電された電気の買い取り費用見込み額」と「制度運用の事務費用」から「回避可能費用の見込み額」を差し引いて計算される。回避可能費用とは、電力会社が再エネの電気を買い取る分、自社で発電せずに済むため、それによって削減(回避)できる燃料費などの発電費用をいう。

経済産業省の計算に基づく13年度の買い取り費用見込み額は4800億円、事務費用は3億円で、回避可能費用の見込み額は1670億円。差額の3133億円が賦課金とされた。買い取り費用については、毎年定められる買い取り単価と予想買い取り量から導き出される。一方、回避可能費用については、電力会社が有するすべての電源のキロワット時当たり平均運転単価を、再エネ電力の買い取り量に掛け合わせて計算している。しかし、回避可能費用を計算するベースとして全電源の運転単価の平均値を使うのは、妥当性にはなはだ疑問がある。

なぜなら、電力会社が再エネ電力の買い取り分だけ自社の発電量を削減する際、最も運転単価の高い電源から優先的に削減するのが経済合理的だからだ。

東京大学社会科学研究所の松村敏弘教授は、こうした問題点をFIT導入前から再三指摘してきた。今年9月の経産省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会でも、「現在の回避可能原価(費用)は、どう考えても調整しないはずの電源も含めた全電源の可変費用(燃料費などの運転費用)で計算されており、明らかに過小(賦課金は過大)」と述べ、将来、再エネ普及とともに賦課金総額が拡大するにつれ「相当大きな問題になる」と懸念を示した。そして、石油、ガス、石炭を合わせた火力発電の平均値を使うほうが現行制度よりはるかに正しい推計だと主張している。

また、自然エネルギー財団(孫正義・ソフトバンク社長が設立者・会長)の木村啓二・上級研究員らも同様の問題点を指摘。回避可能費用を計算するベースとして、電源の中で最も高い石油火力の燃料費単価(電力6社平均)と、時間帯ごとの電力需給で決まる卸電力市場価格(12年度の24時間平均値)を使った場合の賦課金を試算した。

その結果、石油火力の燃料費単価を使った場合、賦課金は全電源平均値ベースと比べ1400億円近く縮小。卸電力価格を用いた場合も約1100億円圧縮された。

松村教授が代替案とする火力平均を使った場合でも、賦課金は数百億円縮小されると見られる。つまり、現状は利用者負担が数百億円から1000億円以上も過大に膨らんでいる可能性がある。

最近では自民党の行政改革推進本部無駄撲滅プロジェクトチームでもこの問題を取り上げている。座長の河野太郎・副幹事長は、「そもそも回避可能原価の計算に全停止している原発のコストを算入するのは無理がある。消費者の負担で電力会社がコスト以上の収入を得ている」と批判、今後も正しい賦課金の計算について議論を続ける意向だ。

 

経産省は「見直しを含め検討する」と言うが・・・


 

これに対し計算方法を決めた経産省側は、「再エネ導入によって調整される電源は実測不可能。必ずしも石油火力から調整しない」「石油火力は夜間など需要低下時には用いられない場合もあり、時間帯によっては代表性に欠ける」「卸電力価格は国内市場がまだ規模が小さく、電力会社による価格操作の懸念すらある。採用しているドイツでも乱高下が問題になっている」などと反論する。ただ、現状がベストとも言っておらず、「より実態に近づく方法はないのか、現行制度の見直しを含めて検討する」との姿勢だ。

重要なのは、この問題をよりオープンかつ本格的に議論することだ。今後、FITによる再エネの運転開始は加速度的に進む見通し。それにつれて賦課金も毎年1000億円単位で拡大していく。電気料金を通じて再エネを支えている利用者全員が納得できるように、早期の制度設計見直しが求められる。

 

つまり、運転単価の安い水力(東京電力の12~14年度のキロワット時当たり単価見込みは0.02円)や原子力(同2.31円)を停めずに、最も単価の高い石油火力(同15.95円)やガス火力(同10.72円)を減らしたほうが経費削減につながるわけで、電力会社の電源運用もそういう考え方で行われるはずだ。(中村 稔 )

 

http://toyokeizai.net/articles/-/26418