HOME12.その他 |グレタさん、故郷スウェーデンに戻る。早速、議会前で「金曜日の座り込み」。COP25からの帰路には、乗車したドイツ鉄道(DB)と一悶着。「大人の嫉妬と誤解」に巻き込まれる(RIEF) |

グレタさん、故郷スウェーデンに戻る。早速、議会前で「金曜日の座り込み」。COP25からの帰路には、乗車したドイツ鉄道(DB)と一悶着。「大人の嫉妬と誤解」に巻き込まれる(RIEF)

2019-12-22 08:46:50

Gretasweden1キャプチャ

 

 ヨットでの米国往復やスペイン・マドリードでの国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)等にも参加したスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは、ほぼ4カ月ぶりに、母国のスウェーデンに戻った。20日の金曜日は早速、ストックホルムの議会前で、仲間の若者たちと一緒に、座り込みとデモを行った。

 

 (写真は、ストックホルムに戻ってストライキに参加するグレタさん)

 

 効果的な気候変動対策を求めて登校拒否(School Strike)をする「フライデーズ・フォー・フューチャー(Fridays For Future、未来のための金曜日)」。グレタさんは、トレードマークとなった毛糸の帽子と黄色の防水コートを身に着けて、1年以上続けてきたストライキを久しぶりの母国で実行した。

 

 この1年間で、彼女に対する世界の関心は急速に増大、米誌Timesの「2019年の人(Person of the Year)」にも選ばれた。訪米では国連気候行動サミットに出席、怒りの演説をして世界の人々を驚かせたほか、休むなく各地で若者たちと交流。開催地を急きょ変更したCOP25にも、再びヨットで大西洋を横断した駆け付けた。

 

久しぶりに愛犬と戯れるグレタさん
久しぶりに愛犬と戯れるグレタさん

 

 各地で注目されるグレタさん。支援する人が増えるとともに、反発する人も増えている。COP25の会議から、イタリア経由で鉄道で母国に戻る道中、乗車したドイツ鉄道(DB)でも、一悶着があった。

 

 スウェーデンまでの鉄路の乗り換えの都合で、彼女が車内で床に座っている写真とともに、「ドイツの列車はとても混雑していた」とツイートしたところ、DBが彼女がファーストクラスに座っていたとのツィートを投稿。床に座っていた写真はパフォーマンスではないか、との批判を巻き起こした。

 

   グレタさんはこれに対して、スイスのバーゼルからの列車が運休になり、2本の列車を乗り継がねばならず、その車内では床に座らざるを得なかったと反論。途中から座れたとツイートした。

 

乗り継ぎがうまくいかず、列車の床に座り込むグレタさん
乗り継ぎがうまくいかず、列車の床に座り込むグレタさん

 

 さらに同乗していた女性ジャーナリストのAlexandra Urisman Ottoさんが、車中のビデオ付きで「われわれは、乗り継ぐ2つの列車で床に座っていた。椅子に座れたのはゲッチンゲン以降」とツィート。DBの誤解、と指摘した。
 このやり取り、飛行機よりも鉄道輸送を称賛するグレタさんの行動を、グレタさんから称賛を得た形の鉄道会社が、逆にグレタさんを揶揄した格好にもなったことから、DBには抗議が殺到した。
乗り合わせたAlexsandoriaさんのツィート
乗り合わせたAlexandraさんのツィート

 

 さらにグレタさんが指摘したように、乗り継ぐDBの列車が遅れたことは間違いなく、DBの頻繁な遅れと運休の実態も世界に知られてしまった。識者によると「数十分単位の遅れは珍しくなく、ドイツ人にとっては『DBはよく遅れる』のが常識」という。
 この問題を報じた米紙は「かつては時間に正確だったDB。近年は遅れや突然の運休、高額な運賃で批判にさらされている」と報じた。グレタさんは、その後、DB批判をしていないようだが、DBは乗客の個人情報を「勝手に間違ってツィート」したともいえる。DBに乗る際には、遅れや運休だけではなく、個人情報への注意も必要があるようだ。

 データによると、先月のスウェーデンの国内航空便は11%減、ドイツでも同12%減と、グレタさんの4カ月にわたる大旅行の成果の一つとして、「空路から陸路へ」と、個人の移動の選択肢が変わりつつある。「フライトシェイム(飛び恥)」という言葉が日本でも使われるようになっている。

 

 そう考えると、鉄道会社はグレタさんを揶揄する向きに与するのではなく、むしろ、応援してしかるべきだろう。「飛び恥」の消費者需要を、鉄道輸送にスムーズに誘導するには、まずはダイヤの遅れや運休等を正し、乗客の個人情報を尊重し、快適で安全な運行を心掛ける必要がある。

 

https://www.afpbb.com/articles/-/3260607?cx_part=top_category&cx_position=4

https://www.afpbb.com/articles/-/3259719

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53440520X11C19A2CR0000/