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三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、新たな「環境・人権方針」制定。初の新規石炭火力発電向け融資の基本姿勢を明記。OECD公的輸出信用アレンジメント等を参考に(RIEF)

2018-05-26 00:44:03

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 三菱UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)は、環境・社会課題解決に貢献する基本方針として「MUFG 環境方針・人権方針」等を改定した。この中で、新規の石炭火力発電所向け融資について「OECD などの国際的ガイドラインを参考に、ファイナンスの可否を慎重に検討」と明記した。日本の主要銀行で石炭火力融資の基本姿勢を示したのは初めて。ただ、環境NGOなどは、パリ協定の目標達成には不十分と批判している。

 

 MUFGは2006年3月に「MUFG グループ環境理念・環境方針」を制定、さらに、地球環境問題や環境への取り組みを具体的に進める行動レベルの指針として「MUFG環境に関する行動方針」を2008年6月に制定していた。今回は、これらに加え、「生物多様性保全活動に関する考え方」も統合して新たな「MUFG 環境方針・人権方針」を打ち出した。それらを踏まえ、環境・社会配慮を実現するための枠組みとして、「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」を定めた。7 月1 日より適用する。

 

 新たな「ポリシーフレームワーク」では、「 ファイナンスを禁止する事業」と「 ファイナンスに際して特に留意する事業」に分けて、環境・社会のリスクに対する姿勢を整理している。

 

 「禁止事業」は①違法または違法目的の事業②公序良俗に反する事業③ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業④ユネスコ指定世界遺産へ負の影響を与える事業⑤絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)に違反 する事業⑥児童労働・強制労働を行っている事業 。

 

 一方、「特に留意する事業」は、セクター横断的な項目と、特定セクターに係る項目に分け、前者については①先住民族の地域社会へ負の影響を与える事業②非自発的住民移転に繋がる土地収用を伴う事業 ③保護価値の高い地域へ負の影響を与える事業、とし、後者について、石炭火力発電セクターとクラスター爆弾セクターを明記した。

 

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 新規の石炭火力発電事業の基準として示したOECD 公的輸出信用アレンジメントは、高効率石炭火力発電を支援対象としている。このため、MUFGも関与するインドネシア等で日本企業が中心になって建設計画を進める超々臨界圧石炭火力発電向け融資は引き続き続けることを想定していると読める。ただ、MUFGでは、これらのガイドラインに加えて、「石炭火力発電を巡る各国ならびに国際的状況を十分に認識した上で、ファイナンスの可否を慎重に検討する」と留保条項を加えている。

 

 これに対して、350.org Japanやレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)などの環境NGO5団体は、共同声明を発表。「MUFGは化石燃料に対して多額の投融資を行っているが、今回のフレームワークでは化石燃料ファイナンスに関して十分な配慮が見られない」と批判している。

 

 共同声明では、MUFGが基準の例としてあげたOECD信用アレンジメントが、高効率石炭火力発電を支援対象とする一方で、国連環境計画(UNEP)は、パリ協定の1.5~2℃目標達成のためには、仮に高効率のものであっても、新たな石炭火力建設は許されず、既存の石炭火力も廃止していく必要があると勧告していることを指摘。また、炭素含有量が最も多い石油であるタールサンドやその他の炭素集約度が高く、銀行にとって財務上リスクのある化石燃料の扱いに一切触れていない点を、経営上の問題として強調している。

 

 今回改められたMUFGの「環境方針」は、地球環境の保全・保護および気候変動 への対応などの地球環境に係る課題への対応は「人類共通の責務」と位置付け。気候変動については、「グローバルな金融機関として、 低炭素社会への移行をはじめとする気候変動への世界的な取り組みに関し、大きな役割を 果たし得る立場にいる」との認識を示している。

 

 そのうえで、①太陽光・風力等の再生可能エネルギー事業や環境リスクに配慮した企業の資金調達の支援等を通じて、温室効果ガス排出量削減の取り組みを推進する②グループ各社の商品・サービスが気候変動に及ぼす影響に配慮し適切に対応する③気候変動のリスク管理のために、気候変動が事業に及ぼす将来的な影響の調査・研究を進める、としている。さらに、パリ協定、TCFD等の各種国際協定やイニシアティブの支持をうたっている。

 

 生物多様性については、社会が、豊かな生物多様性の恵みの上に成り立っていることを指摘したうえで、「MUFG は、商品・サービスの提供を通じて、生物多様性を保全する事業を支援するとともに、グループ各社の商品・サービスが生物多様性へ負の影響を及ぼすことが無いように適切に対応する」としている。

 

 「人権方針」では、経営ビジョンの「世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ」を目指すうえで、人権の尊重を経営の重要課題と認識するとともに、事業活動の全てにおいて、人権尊重の責任 を果たす努力をすると明言。尊重する国際的な人権基準として、① 世界人権宣言② 労働における基本原則および権利に関する宣言(国際労働機関(ILO))③ビジネスと人権に関する指導原則の3つを列記、さらに OECD 多国籍企業ガイドライン、国連グローバル・コンパクト、責任投資原則など7イニシアティブを挙げている。

 

https://www.mufg.jp/vcms_lf/news/pressrelease-20180515-005.pdf

http://japan.ran.org/?p=1207